研究課題
本研究課題の目的は、欧米諸国で被害が拡大している日本由来の侵略的外来雑草であるイタドリを伝統的生物的防除法により制御するための技術開発である。これまでに得られた研究成果に基づき、食植物性昆虫であるイタドリマダラキジラミ、さび病菌および斑点病菌などが本雑草の生物的防除素材として利用できる可能性を示してきた。これらのうち、イタドリマダラキジラミが英国で野外放飼され、その追跡調査をCABIと共同で展開している。そこで今回、本天敵の各生活環における生存温度の影響を検討したところ、英国における冬季の低温条件下でも越冬可能であることを明らかにした。実際に野外放飼育3年後も定着していることを確認している。しかし、現在までに本天敵による顕著な生物的防除効果が得られていないため、次期候補素材として植物病原糸状菌である斑点病菌の導入が有望視された。そこで斑点病菌とイタドリマダラキジラミとの相互関係についての基礎的実験を行った。その結果、斑点病菌の感染はイタドリマダラキジラミとの共存下でも進行し、拡大することを明らかにした。またイタドリマダラキジラミは斑点病の罹病葉にも健全葉と同様に産卵することも認めている。このように、既に野外放飼されているイタドリマダラキジラミの生物的防除効果を高めるためには、斑点病菌の追加導入が有効であることを室内実験で確立しつつある。しかしながら、本病原菌の大量撒布に不可欠である、培地上での子のう胞子の形成技術が確立していないことから、本胞子の形成に密接に関与する交配型遺伝子(MAT)の単離実験を進めた。その結果、本病原菌は雌雄異化であることが明らかとなり、単離したMATの遺伝子情報に基づいた雌雄の系統識別可能となった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Fungal Biology
巻: 116 ページ: 785-791
10.1016/j.funbio.2012.04.011
Biological Control
巻: 63 ページ: 129-134
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