研究課題/領域番号 |
22380186
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
三ツ井 敏明 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70183960)
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研究分担者 |
伊藤 紀美子 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10281007)
林 八寿子 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20228597)
花城 勲 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (30336325)
大坪 研一 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80353960)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | デンプン / 植物 / イネ / ゴルジ体 / 葉緑体 / 糖鎖 / AmyI-1 / MSD1 |
研究概要 |
本研究課題においては、イネにおけるデンプン代謝に関わる酵素、なかでも糖タンパク質として知られているα-アミラーゼ(Amy)およびヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(NPP)の細胞内膜系からプラスチドへの新奇な輸送、局在化の分子メカニズムを明らかにし、その成果を基に新たな米デンプン集積制御技術の開発を目指している。平成24年度は下記の研究成果が得られた。 (1)イネMn型SOD(MSD1)はその前駆体にシグナルペプチドを有し、N-グリコシ化されうる糖タンパク質であると推測された。MSD1-YFP融合遺伝子をタマネギ表皮細胞で一過的に発現させたところ、MSD1-YFPはゴルジ体に加え、プラスチドに局在することが見いだされた。さらにイネ細胞においてもMSD1-YFP蛍光は葉緑体自家蛍光と一致した。小胞体-ゴルジ体間輸送阻害剤であるARF1(T31N)、ARF(Q71L)とSAR1(H74L)を同時発現させたところ、MSD1-YFPのプラスチド局在化は著しく押さえられ、ゴルジマーカー(ST-mRFP)とともに小胞体ネットワークに分布した。以上の結果から、イネMSD1は小胞体-ゴルジ体系からプラスチドに輸送、局在化し、機能するものと推察された。 (2)NPP1,2,6糖タンパク質はプラスチド局在性を示すが、NPP3は細胞内膜系に局在した。NPP1,2,3,6の推定ターゲティングシグナル領域のアミノ酸配列を比較したところ336D(NPP1)が348K(NPP3)に置換されていた。現在、プラスチド局在化能に及ぼすこのアミノ酸置換の影響を解析している。 (3)高温登熟玄米ではAmyの発現が顕著に増加する。Amyの共通配列を用いたRNAi系統においては高温登熟性が改善される、すなわち高温ストレスを受けても澱粉集積が正常に行われることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)イネMn型SOD(MSD1)は、イネ細胞並びにタマネギ細胞において小胞体-ゴルジ体系からプラスチドに輸送、局在化し、機能することを明らかにし、(2)Amyの発現抑制系統においては、高温における澱粉集積能が向上し、高温登熟性が改善されることを見いだした。したがって、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画通りに着実に研究を進める
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