研究概要 |
アレルギー疾患の罹患率は、年々、若年化傾向を伴いながら増加傾向にあり、一つの大きな社会問題となっている。しかしながら、汎用されている薬物療法では副作用に悩まされる可能性が否定出来ない。そこで、身体に優しい根治療法である感作抗原特異的免疫療法の確立が喫緊の課題となってきている。 ダニ重要抗原(Der f 1,システインプロテアーゼ;Der 2,NPC 2 familyタンパク質;Der f 3,トリプシン;Der f 5,未知タンパク質;Der f 7,未知タンパク質;Der f 8,グルタチオンs-トランスフェラーゼ;Der f 9,コラゲナーゼ;Der f 11,パラミオシン;Der f 13,脂肪酸結合タンパク質;Der f 15,キチナーゼ;Der f 18,キチナーゼ;Der f 20,アルギニンキナーゼ;Der f 21,来知タンパク質;Der f 22,未知タンパク質)と研究室で単離した新規高IgE反応性アレルゲン(Der f 4,α-アミラーゼ;Der f 6,キモトリプシ;Der f 10,トロポミオシン;Der f 14,アポリポフォリン;Der f 16,ゲルソリン/ビリン;Der f 17,カルシウム結合タンパク質;Mag133;DFA22;DFA67)遺伝子を発現ベクターpCold TF DNAに、それぞれ組み込みE.coli Rosetta-gamiを用いて発現させ、精製組換えタンパク質を得た。この精製組換えアレルゲンと13名のダニアレルギー患者IgEとの反応性から、感作アレルゲンプロファイルが患者毎に異なっていることを分子種レベルで確認できた。特に、主要アレルゲンDer f 1やDer f 2に対するIgE結合活性は検出されなかったが、ダニ粗抗原中では微量にしか存在しない他のダニアレルゲンにIgE結合活性を示す患者もいた。この新しい分子診断システムでは、患者固有の感作抗原が特定できるため、component-resolved diagnosis法として汎用できる可能性が示唆された。
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