研究課題
キラルイミドを不斉補助基として用いるジアステレオ選択的反応は、複雑な骨格を有する標的分子の不斉合成において重要な手段として国内外で活用されている。本研究では本申請者がこれまでに開発した二種類のアルドール型反応に関し、(1) ビニロガス向山アルドール反応については、β-シロキシ基を有する基質での反応性の確認、(2) 不斉3級アルコールを含む1,2-ジオールの立体選択的合成法については基質一般性の検討、(3) これらの方法論を活用した生物活性天然物の不斉合成への応用について検討し、マイクサラミドA、インセンソールアセテート、メチノリドの合成において以下の成果を挙げることができた。ビニロガス向山アルドール反応において、α-シロキシ基を有する基質では生成物の立体選択性が逆転し、syn体が得られることが分かっている。そこで種々のβ-シロキシ基を有する基質を用いて、反応の検討を行った。その結果、TBDMSO基では選択性が発現せずsyn体とanti体が同程度得られたが、TBDPSO基の場合では、従来通りの高選択性でanti体を得ることに成功した。マイクサラミドAに関しては、ビニロガス向山アルドール反応を活用し、またヨウ化ビニルボロナイトをC2ユニットとするワンポットStille-Suzukiカップリングにより極めて効率的、かつ保護基フリーの全合成を達成した。インセンソールアセテートに関しては、ファルネソール由来のアルデヒドとのアルドール反応により、不斉3級水酸基を含む1,2-ジオール部分の構築に成功した。さらにリレー閉環メタセシスにより13員環エーテル構造の構築にも成功した。一方、メチノリドの合成に関しては、両方法論によりC1-C8フラグメントおよびC9-C13フラグメントの合成に成功し、両者を結合することで全合成を達成した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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