研究課題/領域番号 |
22390006
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小池 透 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (90186586)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | プロテオミクス / リン酸化タンパク質 / 蛍光分析法 / 磁気ビーズ / キナーゼ反応 / シグナル伝達 |
研究概要 |
本研究は,ナノモル濃度のリン酸化生体分子を選択的に捕捉する機能性分子(フォスタグ)と蛍光性発色基を組み合わせた新しいリン酸化生体分子解析法の開発を目的としている。蛍光性フォスタグを用いた方法は,従来の分析法(放射性同位体法,抗リン酸化抗体法,単核金属錯体法)と比べて,より網羅的かつ迅速なリン酸化の関わる生体反応の解析を可能にし,簡便な操作性や安全性などの利点をもち,ガンやアルツハイマーなど生体リン酸化反応のバランス異常に起因する病態の治療法や診断法の開発に役立つ画期的な分析技術である。本年度は,新規蛍光性フォスタグを二種類を合成し,既存のものと合わせてそれらの機能性(蛍光染色剤やキナーゼ解析試薬としての利用)について検討した。それらの内,ローダミン系のフォスタグ誘導体が最も簡単な操作手順で,効率よくリン酸化タンパク質を選択的に染色することが明らかとなった。さらに,磁気ビーズに固定化したフォスタグと蛍光性基質分子(リン酸化ペプチドやヌクレオチドなど)を用いて,フォスタグに対する様々なリン酸化分子の相対的な親和性順位を初めて測定することに成功した。それらのデータは,フォスタグを用いたリン酸化分子解析における最適な分析条件を予測する上で極めて重要なものである。本年度は二種類の蛍光性フォスタグを用いた複数のリン酸基を有する生体分子(リン酸化糖やリン酸化ペプチド)の蛍光エネルギー移動分析法を開発した。この方法では近接するマルチリン酸化分子のみを選択的に定量解析することが可能である。最終年度は,これまで開発したフォスタグ蛍光分析法を実用的な技術としてとりまとめ,それらのプロトコルを総説や学術論文として発表するとともに,関連する学会で発表していきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画調書に記載した研究目的(蛍光性フォスタグを用いた分析法の開発)以上の複数の新しいフォスタグ蛍光分析法が開発できている。さらに,磁気ビーズ法を利用してフォスタグそのものの基本的な性質(リン酸基に対する親和性など)についての化学情報も得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
計画以上に研究が進展しているので,これまでと同様に革新的な分析技術の開発研究を進めていく予定である。研究を進める上での問題点はまったくありません。また,最終年度は,本研究課題の研究成果を関連分野の学会に発表するとともに,総説や学術論文として公表していく予定である。
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