研究課題/領域番号 |
22390014
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
梅田 真郷 京都大学, 工学研究科, 教授 (10185069)
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研究分担者 |
加藤 詩子 京都大学, 化学研究所, 助教 (90362392)
従二 直人 京都大学, 工学研究科, 研究員 (90572199)
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キーワード | 体温調節 / エネルギー代謝 / 脂質代謝 / メタボリックシンドローム / ショウジョウバエ |
研究概要 |
ヒトは食物として摂取した総エネルギーの約60%を費やすことにより体温調節を行っており、エネルギー代謝系と体温調節系の連携の破綻が様々な代謝疾患を引き起こす可能性が指摘されている。しかし、エネルギー代謝系と体温調節系の両システムがどのような分子機構で協調・連関して働いているのか、その実体は明らかではない。本研究では、エネルギー代謝系と体温調節系を結ぶ分子経路の実体をショウジョウバエの分子遺伝学的手法を駆使して明らかにすることを目的とする。 これまでのショウジョウバエ低温選択性変異体atsugariの解析から、ショウジョウバエ幼虫が個体の代謝レベルの変動に呼応して、適正な温度環境を選択する事を見出した(Science 323 : 1740, 2009)。本年度は、個体のエネルギー・脂質代謝制御に関わる分子群に着目して、その変動が体温選択行動に及ぼす影響について解析を進めた。具体的には、GAL4-UASシステムを用いて、組織特異的にエネルギー代謝制御に関わる各種遺伝子の発現抑制の温度選択行動に及ぼす影響を詳細に検討した。その結果、インスリンシグナル伝達経路の制御分子であるAkt1及び脂質代謝酵素の発現制御に関わる肝臓特異的転写因子(dHNF4)の発現を抑制し、エネルギー代謝レベルを低下させることにより顕著な高温選択性を誘導する事を見出した。さらに、各種臓器特異的GAL4ドライバーを用いて組織特異性を検討した結果、脂肪体(哺乳動物の肝臓と脂肪組織に相当する臓器)で発現抑制した場合に特異的に体温調節行動に影響を及ぼす事が明らかとなった。また、エネルギー代謝の抑制に伴い顕著な個体サイズの減少も観察された。
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