研究概要 |
本研究は,世界的に有名な遺伝病,嚢胞性線維症(CF)および地元熊本にフォーカスがある遺伝病,家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)という希少疾患に対する創薬研究である.CFについては,CFと同様の呼吸器病態を示すin vivo評価モデルを構築慢性的な粘液過剰分泌を呈するモデルの確立を試み、週齢によって,粘液分泌,炎症性サイトカイン産生の表現型が変化するというデータを得、最終的に、薬効評価系として活用できるモデルを確立し、数種の化合物の評価が可能になった.また、CFTRの細胞内の分解機構に関わる分子の同定、TLRの発現制御機構の解明等、基礎的な知見も得ることができた。FAPについては、変異体の3次元構造解析に成功し,論文として発表することができ、また、結合しうる薬物との相互作用も明らかにし、論文として発表した.さらに、TTRの細胞内運命を司る分子の同定を行なう中で、本来、非糖鎖付加タンパク質であるTTRが細胞内の通常の分解系が機能しなくなると、糖鎖付加を受け,新たな分解経路を介して分解されることを発見した.これらのTTRに関する知見は、新たな創薬に向けての極めて重要な基礎的知見であり、FAPのモデル動物が作製された暁には、化合物の設計や創薬ターゲット分子の設定、ならびにスクリーニングが容易になり、FAP患者の新たな治療指針を提供することが可能になるだろう。
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