研究課題/領域番号 |
22390017
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
野水 基義 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (00311522)
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研究分担者 |
吉川 大和 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (20274227)
保住 健太郎 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (10453804)
片桐 文彦 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (60420642)
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キーワード | 基底膜 / ペプチド / ラミニン / キトサン / 再生医療 / インテグリン / 細胞接着 / シンデカン |
研究概要 |
巨大で多彩な機能を持つ基底膜の主役的タンパク質・ラミニンの機能部位の解明と医薬分野への応用を目的に、組換えタンパクと合成ペプチドを用いて機能部位の網羅的解析を行い、細胞特異的に作用する活性ペプチドの同定と生物活性の解明、レセプターの探索と細胞内情報伝達の解析をとおして作用メカニズムの解明を行うとともに、それらの創薬、DDS、再生医療など幅広く医薬分野へ応用のための基盤構築を目的に研究を行った。本研究期間内にすべてのラミニンサブユニット(5種類のα鎖、3種類のβ鎖、3種類のγ鎖)の細胞接着部位の同定と生物活性の解析を目的に、全体の20%にあたる今までに手付かずの部分の解析を遂行した。平成22年度は、α1鎖とα2鎖のC末端部分(各1000アミノ酸残基)の細胞接着部位の探索を約250種類の合成ペプチドを用いて行った。この結果、数種類の生物活性ペプチドを見出すことができ、それらの受容体として、インテグリンやシンデカンを同定することができた。これらめ成果は、2報の論文と8回の学会発表にて報告した。また、細胞接着ペプチドの細胞膜上レセプターの探索を行い、アミロイド構造を形成するペプチドのアミロイド構造形成部位とインテグリン結合部位を解明した。さらに、細胞接着におけるインテグリンとシンデカンの相互作用を解明した。これらの成果は3報の論文と12回の学会発表にて報告した。さらに、得られた細胞接着ペプチドを再生医療など幅広く医薬分野へ応用のため、キトサンやアルギン酸などの高分子多糖に結合し、細胞に対する作用を高分子多糖の種類やゲルの厚さなどを指標に解析し、ペプチド-高分子多糖複合体の3次元細胞培養の方向性を示すことができた。 これらの成果は2報の論文と8回の学会発表にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度予定していたすべてのラミニンβ鎖とγ鎖の活性部位の探索はほぼ完結し、数種類の興味ある活性ペプチドを同定することができた。これらの研究結果は4回にわたり国内外で学会発表を行い、学会発表でのディスカッションをもとに、現在、論文作成中である。活性ペプチドの医療分野への応用を目的として行っているペプチド-高分子多糖の創成研究では、ペプチド-キトサンやペプチド-アルギン酸の作成と詳細な生物活性の測定実験が順調に進んでいる。これまでに、ペプチド-高分子多糖のゲルの硬さが受容体結合性に関与していることや、神経突起伸長作用や血管内皮細胞のチューブフォーメーションなどの生物活性に関与していることがわかってきた。これらも現在、論文作成中である。以上のように、当初の研究目的に向けた計画は、おおむね順調に伸展している。
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今後の研究の推進方策 |
巨大で多彩な機能を持つ基底膜の主役的タンパク質・ラミニンの機能部位の解明と医薬分野への応用を目的に、組換えタンパクと合成ペプチドを用いて機能部位の網羅的解析を行い、細胞特異的に作用する活性ペプチドの同定と生物活性の解明、レセプターの探索と細胞内情報伝達の解析をとおして作用メカニズムの解明を行うとともに、それらの創薬、DDS、再生医療など幅広く医薬分野へ応用のための基盤構築を目的にしている。具体的には、すべてのラミニンアイソフォームの1次配列を網羅した約4000種類のペプチドのライブラリーを用い、新たな医薬シーズとなる活性ペプチドの探索と生物活性の詳細な解明を行い、それらをがんや創傷治癒をターゲットした創薬やDDS分野、機能性医用材料の開発をめざした再生医療分野など幅広い分野への応用を行うことを研究計画として行って来たが、今後もこの方針のもと、研究を続行していく。
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