研究概要 |
1.がん性疼痛に有効な新規鎮痛剤の開発を目的に、既に見いだしているリード化合物(コリナンテ型インドールアルカロイド誘導体)の構造修飾により、ラット肝ミクロソーム代謝に対して安定性を持たせた化合物の取得を目指した。酵素による代謝を受けていると考えられる位置に、重水素あるいはフッ素を導入した化合物を種々合成し、活性試験に付した。このうち、数種の化合物がモルヒネを上回る強い活性を保持したまま、代謝安定性が改善されたことが明らかになった。また、リード化合物の側鎖置換基の構造修飾(アルキル基の伸長)あるいは環内の酸素官能基を炭素に置換しても鎮痛活性が保持されることが明らかとなり、今後の構造展開の方向性を明らかにすることができた。 2.認知症改善薬探索研究の一環として、新規な活性アルカロイドの不斉全合成による大量供給法の開発を目指した。トリプタミン3量体型アルカロイドであるPsychotrimine,Pundanus属植物から見いだした新規ピロリジンアルカロイド類(Pandamarilactonines-E,-G,-H,Dubiusamines-A,-B)、さらに、Faucettimine型リコポジウムアルカロイド(Huperzine-Q)の初の不斉全合成に成功した。これら天然物の活性評価について検討してる。
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