研究概要 |
がん性疼痛に有効な新規鎮痛剤の開発を目的に、既に見いだしているリード化合物(コリナンテ型インドールアルカロイドに属するMitragynine誘導体)の構造修飾により、ラット肝ミクロソーム代謝に対して安定性を持たせた化合物の取得を前年度に引き続き目指した。その結果、代謝安定性がある程度改善できた誘導体の創製に成功した。一方、本新規誘導体はリード化合物と比べ、さらにオピオイドアゴニスト活性が増強したことが明らかになった。今後の医薬化学研究展開の素材とする予定である。また、オピオイド性鎮痛剤の創薬研究を実施していく上で必要な基礎データ(薬物の体内動態解析)取得のため、SPECT用プローブ(放射活性ヨウ素を分子内に有するリガンド)の創製研究も引き続き実施した。本年度は、上記リード化合物の側鎖末端にヨウ素を導入した化合物の不斉全合成研究に取り組んだ。その結果、ヨウ素導入前駆体までの合成ルートを確立できた。また、認知症改善薬探索研究の一環として、すでに見出している活性微量リコポジウムアルカロイド類(Lycodine, Lobscurinine, Huperzine-H)およびヒガンバナ科アルカロイド(1-O-Acetyllycorine)の不斉全合成研究を実施した。現在までに、LycodineおよびHuperzine-Hの鍵合成中間体の取得に成功した。また、アセチルコリンエステラーゼ阻害活性を有する天然アルカロイドの探索により、新規リコポジウムアルカロイドおよび新規コプシアアルカロイドをそれぞれ数種見いだした。
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