研究課題/領域番号 |
22390021
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 徹明 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (40116059)
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研究分担者 |
小島 直人 大阪大学, 薬学研究科, 助教 (90420413)
矢守 隆夫 がん研究会, がん化学療法センター・分子薬理部, 部長 (60200854)
三芳 秀人 京都大学, 農学研究科, 教授 (20190829)
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キーワード | 抗がん剤 / 有機合成化学 / 構造活性相関 / 生物活性物質 |
研究概要 |
化学療法剤による「がん」の治療は、外科手術、放射線治療と並ぶ、代表的な治療法の一つであるが、正常細胞と元は正常細胞であったがん細胞を薬剤に区別させるのは困難であり、副作用が多いことが問題点の一つである。このことから、新たな作用メカニズムを有する抗がん剤の開発が望まれている。研究代表者らは、熱帯・亜熱帯産のバンレイシ科植物より単離される抗腫瘍活性を示すポリケチドであるアセトゲニン類に着目し、それらをシードとする新規抗がんリード化合物の開発研究に取り組んでいる。これまでに、アセトゲニン類由来のテトラヒドロフラン環部分と、呼吸鎖阻害系殺虫剤由来の含窒素複素環を連結させた含窒素複素環含有アセトゲニン類を設計し、それを化学合成することに成功している。その結果、合成した含窒素複素環含有アセトゲニン類は天然物を凌駕する強いヒトがん細胞増殖抑制活性を有することを見出している。 平成22年度は、導入する複素環を含窒素複素環に限定せず、様々な複素環を有する誘導体を合成することにより、複素環部位の構造活性相関研究を展開することにした。まず、様々な複素環を有するアセトゲニン誘導体の汎用的な合成経路の開発を検討し、それを確立することに成功した。確立した経路により、様々な複素環を有するアセトゲニン誘導体を合成し、それらのヒトがん細胞に対する増殖抑制活性を評価した。その結果、フラン環を導入した誘導体も、含窒素複素環を導入したものよりは弱いが、天然物よりは強い活性を有することが明らかになった。また、チオフェン環を導入した誘導体は、含窒素複素環を導入した誘導体に匹敵する強いヒトがん細胞増殖抑制活性を示すことを見出した。
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