研究課題
本研究はマラリアと住血吸虫症の2大寄生虫病に有効な広範囲治療薬を開発することを目的としている。平成22年度に引き続き、平成23年度もN-89の住血吸虫に対する作用機序を明らかにする事を目的として研究を行った。1マンソン住血吸虫感染後5週目のマウスにN-89を投与し、12時間後及び2週間後に行ったプロテオーム解析から、いずれの時期にも変動していたタンパク質(オス:増加6種類、減少5種類 メス:増加6種類、減少6種類)についてウエスタンブロッティングにより発現量を解析した。住血吸虫タンパク質に対する抗体は市販されているものがないので、他の生物種と比較し、アミノ酸配列の相同性が高いタンパク質に対する抗体、あるいは目的とするタンパク質の一部に相同な部位に対する抗体を購入し、感染後5週目のマウスにN-89を投与し、12時間後にタンパク質画分を調製してウエスタンブロッティングを行ったが、抗体が反応せずタンパク質レベルでの解析が出来なかった。2抗体の反応性の問題でウエスタンブロッティングの解析が出来なかったので、マンソン住血吸虫感染後5週目のマウスにN-89を投与し、12時間後にmRNAを抽出し、cDNAを調製した。現在、プロテオーム解析から見出したタンパク質をコードする遺伝子に特異的なプライマーを設計しリアルタイムPCRを行っている。3N-89のマンソン住血吸虫における薬剤標的タンパク質を同定するため、N-89ビオチン付加体を作製した。現在、このN-89ビオチン付加体を用いて、N-89と親和性のあるマンソン住血吸虫タンパク質の同定を試みている。4マンソン住血吸虫内におけるN-89の局在を観察するためにN-89に蛍光物質ローダミンを標識したローダミン標識N-89を作製した。マンソン住血吸虫の凍結切片スライドをローダミン標識N-89で染色し、住血吸虫内の局在観察を行っている。
2: おおむね順調に進展している
平成23年度は薬剤標的タンパク質の同定において強力なツールとなるN-89ビオチン付加体を作製することができた。また、住血吸虫内におけるN-89の局在観察が可能となるローダミン標識N-89の作製をしたことから、N-89のマラリア原虫とマンソン住血吸虫における標的タンパク質及び作用機序を明らかにできると考える。
マラリア原虫とマンソン住血吸虫におけるN-89の局在及び標的タンパク質を明らかにし、マラリア原虫と住血吸虫とで共通の標的ポイントを見出す。
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Parasitology International
巻: 60 ページ: 488-492
10.1016/j.parint.2011.08.017
巻: 60 ページ: 270-273
10.1016/j.parint.2011.04.001
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10.1016/j.parint.2011.02.007
http://www.pharm.okayama-u.ac.jp/lab/joho/research/02.html