研究課題
本研究では、肺胞上皮細胞について、初代培養細胞や株化細胞の欠点を克服すべく、肺胞上皮由来の株化培養細胞を出発材料とし、特定遺伝子の導入や分化制御因子の併用によって、よりin vivoの細胞に近い新たな肺胞上皮II型細胞モデルを作出すること、および薬物による肺障害、特に線維化の分子機構を解明することを目的としている。得られた成果は以下のとおりである。1)ラットAbca3遺伝子を正常なラットの肺胞上皮由来株価細胞であるRLE-6TN細胞に導入して作出した細胞(RLE/Abca3細胞)は、RLE-6TN細胞に比べてII型の形質が全般的に高まっていることを原著論文として報告した。RLE/Abca3細胞を用いて、ブレオマイシンやメトトレキサートによる上皮間葉転換(EMT)の誘発についてTGF-beta1と比較解析した。これら3種の化合物とも、EMTを示唆する細胞形態の変化(上皮細胞様の形態から線維芽細胞様の形態に変化)やアクチンファイバーのリモデリングを誘発した。また上皮系マーカーであるCK19、ZO-1のmRNA発現の減少、間葉系マーカーであるCTGF、FN、alpha-SMA、VIMのmRNA発現の増加が共通して認められた。2)RLE/Abca3細胞とRLE-6TN細胞を比較検討したところ、ブレオマイシンやメトトレキサートによるalpha-SMAのmRNA発現上昇はRLE/Abca3細胞では認められたがRLE-6TN細胞では認められなかった。またII型細胞マーカーであるAbca3遺伝子の発現低下もRLE/Abca3細胞では認められたがRLE-6TN細胞では認められなかった。これらの結果から、ブレオマイシンやメトトレキサートはTGF-beta1と同様、RLE細胞にEMTを誘発すること、RLE-6TN細胞に比べ我々が樹立したRLE/Abca3細胞は、薬物誘発性肺線維症を予測する上で優れたモデル細胞となる可能性が示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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