研究概要 |
本年度は下記の結果を得た。 1.CD9:1)CD9はこれまで精子には存在しないと考えられていたが、CD9が精子にもあることを発見し、CD9の精巣内発現から先体反応過程そして膜融合過程に至るまでの現象を、CD9-GFP-TG+/+および-/-卵,CD9-GFP-TG精子およびwildを用いて明らかにし、国際誌に発表した(Cell Tiss Res.,2010)。精子CD9欠損雄は不妊にならないが,精子CD9が他の膜分子を安定化している可能性が示唆された。2)裸化卵子を一度に大量に作製する方法を開発し、報告した(Reprod Med Biol,2011,in press)。 2.Equatorin/EQT:1)1型膜シアロ糖タンパク質Equatorin(EQT,MN9)をコードする遺伝子にEGFPをつないだ遺伝子改変マウスEQT-GFP-TGマウスを作製し、Equatorinに関するLive imaging解析機器をグレードアップし、その解析条件を検討した。2)先体反応/膜融合から卵活性に至る分子変化のcascadeを撮像し一連の画像化を構築し、その一部を国際誌に発表した(Reproduction,2010)。3)Izumoの挙動との違いをlive imagingと微細構造レベルで比較解析した結果、IzumoはEquatorin/EQTよりも迅速に膜を移動し、広く分布することがわかった。一方、Equatorinは先体内膜に強く安定して存在し続け、卵形質内に取り込まれることがわかった。4)EQT-KOマウスはもどし交配する途中、繁殖困難になったため、EQT遺伝子欠損雄マウスのphenotype解析が予定より遅れた。現在、繁殖できる状態になったため、今後phenotype解析する。 3.Equatorin/EQTと共沈するタンパク質:LC-MS/MS分析し、現在、その解析結果を整理中である。 4.MN13:wild精巣で発現を解析すると共に、球形頭部精子症を示すモデルマウスGOPC-/-の精子と精巣、球形頭部精子症を示す不妊症患者精子を解析した。マウス卵活性不全に至る解析結果から、ヒトにおける卵活性不全に至る機序を推測し、発表した(Hum Reprod.,2010)。
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