研究課題/領域番号 |
22390033
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
年森 清隆 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20094097)
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研究分担者 |
伊藤 千鶴 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (80347054)
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キーワード | 精子 / 先体反応 / 受精 / 精子形成 / 胚発生 / 不妊 / 受精卵 / エクアトリン |
研究概要 |
【1】本研究で対象とした精子機能タンパク質Equatorin(EQT)に関する、EQT-GFP-TGマウスが完成した。Live imagingに関して詳細な解析が可能となったため、今年度新しく得た主な結果を示す。EQT-GFP-TGマウスを用いて、先体反応から卵活性に至るEQTの変化をlive imagingの画像を取得できた。蛍光抗体法により他の先体機能タンパク質IzumoやSAMP32の挙動との相違解析や、電顕レベルの微細構造変化と比較解析により、Equatorinは、IzumoやSAMP32の挙動とは異なり、移動後の最終部位も異なることを確認した。また、先体反応にから受精過程におけるEquatorinの挙動変化の基礎データを得た。Equatorin機能ドメイン(138T)から出る糖鎖(この部にエピトープがある)の最初の糖鎖部位に、Galnt3が関連していることを発見した。このことは、MN9エピトープ部位の機能を推測するために極めて重要な情報である(論文投稿中)。生化学的には精製MN9を用いた免疫沈降法により、Equatorinと共沈してくるタンパク質をLC-MS/MSとin silicoで解析した結果、細胞骨格系タンパク質を含んで多数の候補があったため、さらにタンパク質を絞り込みために、改善した可溶化の方法によりさらに絞り込みのLC-MS/MS解析を行っている。【2】Wild雄マウス精子とCD9-/-卵との体内受精実験を行い、Equatorin分子の挙動をlive imagingで解析した結果、膜変化に伴うEquatorinの詳細な変化が得られた。また、wild卵との受精実験では、Equatorinは受精卵内に取り込まれた後、前核期まで残存することを蛍光imaging画像として得た。最終的にMN13とPLCzとEquatorinとの関係を見るために、PLCz遺伝子を培養細胞に導入した。また、EGFPやmCherryを導入したPLCz遺伝子改変マウス用のベクターも完成した。このように詳細な解析が可能となり、予定の基本部分のデータを取得できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度当初、大震災の影響を受けて、7月頃までの実験に多くの制約があったが、その後諸々の基礎データとなるイメージング画像を取得することができた。一方、生化学的実験においては、Equatorinの可溶化の条件を確立することに困難さがあり、この分が遅れとなる大きな原因となった。現在は、至適条件が判りつつありある。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように、基礎データとなるimaging画像取得システムには問題はない。一方、研究進行上の大きな障害となっている免疫沈降のための至適なEquatorinの可溶化条件が判ってきているのでそこをさらに調整する。可溶化のために用いるdetergentとそれに関わる溶媒の組合せにより、かなり克服の可能性が高くなってきているので、LC-MSIMS解析がやり易くなり、正確になると推測している。
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