本研究は、発生肝臓の構成組織のうち、血管の構成細胞群(類洞内皮細胞、星細胞)の発生に関与することが鳥類胚で予想されたTGF-βとFGF関連遺伝子群のマウス胚を用いた機能解析を目的とする。 そのために以下の計画を遂行する予定であった。(1)TGF-β/FGFリガンド群のマウス胚肝臓における発現解析(2/3)TGF-β/FGF経路が血管発生に関与することを証明するために、Cre driver mice(Flkl-CreまたはWTI-Cre)とALK5(flox/flox)またはFGFR1(flox/flox);FGFR2(flox/flox)miceを交配し血管内皮特異的/中皮特異的にTGF-β/FGF経路を遮断した際の表現型を解析する。(4)肝血管内皮特異的にTGFβ/FGF経路を遮断するために、Stabili2 Cre driver miceを作製し(2/3)と同様の解析を行う。 平成22年度は3種類のTGF-βと18種類のFGFのマウス11.5日胚肝臓における発現様式をin situ hybridizationによって解析した。TGF-β1/3が肝特異的に発現する一方で、TGF-β2の発現は不明瞭であった。またニワトリ胚で肝中皮特異的に発現したFGF18のマウス胚肝中皮における発現は確認できなかった。これらの結果は、胚性肝臓におけるTGF-β群、FGF群の分布様式が種によって異なることを示している。
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