研究課題/領域番号 |
22390035
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
木山 博資 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (00192021)
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研究分担者 |
桐生 寿美子 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (70311529)
小西 博之 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (90448746)
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キーワード | 軸索再生 / プロテアーゼ / 運動ニューロン / DINE/ECEL1 / ノックアウト / シュワン細胞 / トランスジェニック |
研究概要 |
私たちが同定した神経再生関連分子でありメタロプロテアーゼに属するDamage induced neuronal endopeptidase(DINE)のノックアウトマウスを作成したところ、生直後に呼吸不全で個体死に至った。この原因として横隔膜の神経筋接合部の形成がうまく行っていないことが明らかになった。ノックアウトマウスでは、脳から標的の骨格筋に至る神経の走行には異常が見られず、最終的に筋内に入ってからの走行や分岐パターンに異常が見られた。本年度は、シュワン細胞とDINEノックアウトマウスの後根神経節細胞とのインターラクションを培養系で観察した。その結果、ノックアウトマウスの神経軸索とシュワン細胞との接着が弱くなっていることが明らかになった。このことからDINEを介した軸索終末とターミナルシュワンとの接着異常が神経筋接合部形成不全の原因である可能性が考えられた。また、Doc-7トランスジェニックとの掛け合わせによるDINEノックアウトのレスキュー実験ではDINEノックアウト/Doc-7トラヒスジェニッタマウスは生まれてこなかった。そこで、DINEの野生型あるいは酵素活性のない変異型をコリナージックニューロン特異的に発現させるトランスジェニックマウスの作成を本年度新たにめざした。ChATのプロモーター下でDINEの野生型あるいは酵素活性のない変異型を発現するBACトランスジェニックベクターを作成し、受精卵に遺伝子導入を行なった。現在、それぞれ1匹の遺伝子を持つ新生児が得られており、これを用いて来年度はDINEノックアウトマウスをレスキューすること、また酵素活性の必要性が明らりかになることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画の一部であるトランスジェニック動物との掛合わせによりDINEノックアウトマウスはレスキューできなかったが、一方で運動ニューロン特異的にDINEの野生型あるいは変異型を発現させるトランスジェニックマウスの作成が進捗した。以上より本研究の進捗はおおむね予定通りと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
DINEの機能解析のためのDINEノックアウトは培養系で表現型がでていることから、これを用いたin vitroの解析を進める。またノックアウトマウスをレスキューするあるいは酵素活性をなくしたトランスジェニックマウスが次年度には使えるようになるので、vivoの実験でDINEの機能解析が期待できる。これとは別にツールとしてノックダウン用のウイルスベクターを作成し、in vitroおよびin vivoの実験に使えるように進めている。
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