研究課題
BINCsを活性化させることで重症脳傷害の治療に結びつける研究重症脳傷害組織に集積するBINCsは、インスリン様成長因子IGF-1や肝細胞成長因子HGFなどを産生し、脳保護的に作用することを報告してきた(Smirkin et al.2010)。また、ヒト高齢者脳では重症脳傷害にも関わらず、BINCsの集積が少ないことを見いだしている。そこで、BINCs増殖を誘導し活性化させる薬物は重症脳傷害治療薬になると考え、BINCsに発現する各種サイトカイン類の受容体発現を検索した。その結果、BINCsにはIL3とGM-CSFに対する受容体の発現が高いことが定量的RT-PCRによって判明した。そこで、この二種のサイトカインをラット重傷脳損傷モデルに対して皮下注射により投与したところ、顕著な救命効果および脳組織の二次変性拡大阻止効果を有することを見いだした(Nishihara et al. 2011 in press)。脳梗塞巣BINCsからマイクログリア様細胞とNG2グリア様細胞の発生BINCsは、マクロファージマーカーIba1とオリゴデンドロサイト前駆細胞マーカーのNG2を二重に発現している。BINCsを脳梗塞巣から分離後、10%牛胎仔血清(FCS)存在下で3日間、70%FCS存在下で2日間培養後、無血清培地に移動させた。その後、多数の細胞が急速に突起を伸展し、Iba1の発現を失い、NG2だけを発現する細胞になった。この細胞は、オリゴデンドロサイト前駆細胞に類似していた。一方、一部の細胞は逆にIba1の発現を増強する一方、NG2の発現を失いよりアメーバ型の形態を呈するようになった。このIba1単独陽性細胞は活性化型のマイクログリアに似た細胞であると考えられた。これらの結果は、BINCsに幹細胞性があることを示している。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
Experimental Neurology
巻: (in press)
Journal of Cerebral Blood Flow and Metabolism
巻: 30 ページ: 603-615
International journal of oncology
巻: 37 ページ: 1121-1131
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