研究課題/領域番号 |
22390037
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
田中 潤也 愛媛大学, プロテオ医学研究センター, 教授 (70217040)
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研究分担者 |
矢野 元 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (00284414)
高橋 寿明 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (20363228)
杉本 香奈 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00581034)
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キーワード | BINCs / NG2 / パーキンソン病 / マイクログリア / 新規治療法 / 幹細胞性 / 脳梗塞 / 脳損傷 |
研究概要 |
BINCsを形質を変化させることで重症脳傷害の治療に結びつける研究 重症脳傷害組織に集積するマクロファージ様細胞BINCsは、インスリン様成長因子IGF-1や肝細胞成長因子HGFなどを産生し、脳保護的に作用することを報告してきた(Smirkin et al.2010)。BINCsの神経細胞保護的な形質をさらに増強する薬物は重症脳傷害治療薬になると考え、BINCsに発現する各種サイトカイン類の受容体発現を検索した。その結果、BINCsにはIL3とGM-CSFに対する受容体の発現が高いことが定量的RT-PCRによって判明した。そこで、この二種のサイトカインをラット重傷脳損傷モデルに対して皮下注射により投与したところ、顕著な救命効果および脳組織の二次変性拡大阻止効果を有することを見いだした(Nishihara et al.2011)。このIL3とGM-CSFからなるサイトカイン皮下注射薬は、6-OHDA誘発ラットパーキンソン病モデルに対しても顕著な有効性を示した(Choudhury et al.2011)。さらに、最近、IL3とGM-CSFと同等の効果を有する薬物として、合成グルココルチコイドのデキサメサゾンを同定した。デキサメサゾンは、ラットパーキンソン病モデルに対し、3μg/kg body weightという非常に低用量で神経細胞死を抑制することを見いだした。 脳梗塞巣およびパーキンソン病モデル黒質に存在するNG2陽性マイクログリアの発生 脳梗塞傷害核心部周辺には、NG2陽性マイクログリアが存在し、TREM2やCD68等貪食細胞アーカーを発現し、実際に変性神経を貪食していることを見いだした。培養下で、一次培養ラットマイクログリアはTGF β添加に反応し、NG2を発現するこども明らがになった。また、パーキンソン病モデルでNG2陽性マイクログリアが出現することも明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
BINCsの多分化能の研究がやや遅れている一方、本研究の進行に伴い、BINCsの性質の解明が進み、その機能を神経細胞保護的に変化させる方法が解明できてきた。また、NG2陽性であることがBINCsの多分化性のアーカーであることが判明してきた。NG2の発現はBINCs類似細胞であるマイクログリアにもあることが分かり、TGF βが誘導因子であることも判明した。NG2陽性マイクログリアは、傷害脳では、変性神経の貧食に関連していることが分かってきた。これらの研究を通じて、BINCsやマイクログリアの機能を制御し、パーキンソン病や脳梗塞、脳損傷等の難治性神経疾患治療への新たな手段が見えつつある。
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今後の研究の推進方策 |
マクロファージ(BINCs前駆細胞)/マイクログリアにおいてNG2の発現を誘導するTGF βの作用の分子機序を解明し、その他分化性を積極的に誘導する手段に関する研究を一層進める。この2年間の研究によって得られたBINCs/マイクログリア機能制御に関する新たな知識を応用し、新たな難治性神経疾患治療薬を開発しつつあり、数件の薬物に関して、特許申請を行う。
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