1. 胎仔大脳皮質のGABAシステム発達過程の解析: GABAの酵素反応法によるイメージングで胎仔大脳皮質の細胞外GABAの空間的分布を解析した。GABA放出部位は脳室下帯/中間帯、辺縁帯、皮質板で多く、これは、GABA細胞の分布とよく一致しており、細胞外GABAはtangential移動GABA細胞からのparacrineであることが示唆された。 2. Cl^-ホメオスタシス破綻モデルの作製: ラット子宮内胎仔の脳に、活性型変異KCC2遺伝子をIUEP法で導入し[Cl-^]_iを強制的に低下させたところ細胞移動は著しく抑制され、細胞移動に高[Cl^-]_iが必須であることを証明した。また、ラットNKCClのshRNAを作製しIUEPを行った。マウスでは移動中の細胞のCa^<2+>振動が部位により変化し、細胞外GABAやタウリンの空間的分布との関連が示唆された。 3. 母体タウリン合成阻害による胎仔脳内タウリン欠乏の胎仔GABAシステムへの影響: D-システインスルフィン酸を、妊娠13-15日のマウス腹腔内に24時間毎に投与して母体のタウリンの合成を阻害すると胎仔脳の細胞外タウリン量は50%減少し、トニックGABAA受容体作動性脱分極も減少した。radial migrationはGAD67-GFP knock-inで促進されたが、特にヘテロとホモで有意であったことから、GABAがタウリンと相補的に働く可能性が示唆された。 4. 母体拘束ストレスが胎仔脳GABAシステムに与える影響: GAD67-GFP knock-in野生型母体に妊娠15日目から3日間、毎日45分の拘束・光刺激ストレスを一日3回与えた。ヘテロ型胎仔大脳皮質のGABA含量に変化はなかったが、GABA細胞数は減少し、逆にGABA放出量は増加傾向であった。以上から胎仔脳GABAシステムの変調が示唆された。
|