研究課題
母体への環境的ストレスが胎仔脳のGABAシステムをどのように撹乱し、正常な脳の発達にどのような影響を与えるのかを明らかにすることを目的とし、22-23年度の成果をもとに、さらに以下の研究実績を得ることができた。【1.母体ストレス暴露胎仔の成長後の行動学的評価】社会的行動評価:生後8~12週齢マウスをストレスの有無とGAD67の野生型とヘテロで4群(各群4-18匹)に分けた。2匹ずつオープンフィールド内に置き、5分の観察時間内に見られた社会的行動に費やす時間を測定し、社会的行動の障害を評価した。【2.母体ストレス暴露胎仔の成長後における脳の細胞・組織学的評価】ストレス暴露時にBrdUを母体腹腔内投与しておき、生後21日齢になった時点で脳を灌流固定し、脳の各部位の切片についてGABA細胞の分類に用いられるマーカーの抗体を用いて免疫染色し、錐体細胞および各種GABA細胞の分布密度と細胞発生時期(ストレス暴露時期=BrdU陽性)との相関を求めた。ストレス中に発生したGABA細胞数(GFP/BrdU両陽性)が内側前頭皮質で有意に減少していた。さらにPV陽性GABA細胞(GFP/PV両陽性)は、内側前頭皮質の全層、体性感覚皮質III層、海馬CA1で有意に減少し、対照的にPV陰性GABA細胞(GFP陽性/PV陰性)は、いずれの部位でも有意な減少を認めなかった。【3.母体ストレス暴露胎仔の成長後における脳の生理学的評価】胎生期における細胞発生の異常が、成長後のGABA神経回路機能に与える影響を解析した。シナプス外GABAA受容体を介するトニック抑制、小胞性GABA放出による自発性および微小シナプス後電流を海馬CA1で記録したが、劇的な差はなかった。したがって、例数を増やしての統計的解析と、入力路の電気刺激で誘発されるシナプス後電流の解析が必要なことが明らかとなった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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