研究課題/領域番号 |
22390049
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
酒井 規雄 広島大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (70263407)
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研究分担者 |
関 貴弘 広島大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50335650)
秀 和泉 広島大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (20253073)
田中 茂 広島大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (20512651)
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キーワード | ケミカルシャペロン / 小脳長期抑圧 / 神経変性疾患 / 脳虚血 / セロトニントランスポーター |
研究概要 |
ケミカルシャペロンスクリーニング系の構築及び神経変性疾患に対する展開 研究実績: (1)シャペロン介在性オートファジー活性を細胞レベルで検知するシステムの開発 タンパク質分解の30%を占めると考えられているシャペロン介在性オートファジー(CMA)の活性を細胞レベルでリアルタイムに検知できるシステムをイメージングを駆使して開発した。具体的には、CMAの基質となるGAPDHにハロタグを融合させたタンパクGAPDH-HTを蛍光ハロタグリガンドで標識したものを用いる。GAPDH-HTはCMAを活性化させる刺激によりリソソームに集積することが分かった。今後この方法を応用して、CMAを活性化させる薬物をケミカルシャペロンも含めてスクリーニングする予定である。(PLoS ONE 7(2012)e31232) (2)CMAは低酸素負荷により活性化され、神経細胞死を抑制する。神経細胞株あるいはラットの中大脳動脈閉塞モデルを用いた検討により、細胞株で低酸素負荷をかけた際、あるいはラットに脳虚血負荷をかけた際にCMAの必須タンパク質であるLAMP2Aが増加しLAMP2Aをノックダウンさせると細胞死が増悪することを確認した。(Neurochem.Int.60(2012)431-442) 神経変性疾患に対する展開動物モデルを用いた検討 研究実績: (3)変異γPKCをレンチウイルスで生後マウスの小脳のプルキンエ細胞に発現させ、SCA14のモデルマウスを作製した。本マウスよりスライスを作成し、長期抑圧現象(LTD)を観察したところ、その発現が低下していることが明らかになった。変異γPKCによりLTDの発現に必須であるαPKCの動態が障害されることが一因であることを突き止めた。(J.Neuroscience 31(2011)14324-14334)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ケミカルシャペロンの薬物探索系の構築の課程が、シャペロン介在性オートファジー(CMA)の評価系と薬物検索系の開発に結び付いた。ケミカルシャペロンの中にもCMAの活性を調整する薬物が存在する可能性があると思われるので、今後両者の関わりを明らかにすることで、より効果のある神経難病に対する薬物が見いだせる可能性もある。
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今後の研究の推進方策 |
薬物スクリーニング系の開発、特にその自動化において、研究計画が進んでいないので、ハイコンテント顕微鏡を使った新たな自動化の方法の開発を模索する予定である。今後これらの成果を、in vivoでの検討に生かしていきたい。
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