研究課題/領域番号 |
22390050
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
乾 誠 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70223237)
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研究分担者 |
倉増 敦朗 山口大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90302091)
本田 健 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (30457311)
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キーワード | ホスホランバン / アプタマー / 心筋小胞体 / 強心薬 |
研究概要 |
心筋細胞内の筋小胞体Ca^<2+>輸送のみを促進するような薬物は、細胞外からのCa^<2+>流入増加を伴わず、弛緩が十分に達成されることから収縮力を増強する理想的な強心薬となり得る。本研究は、筋小胞体Ca^<2+>輸送の調節蛋白質であるホスホランバンに特異的に結合する一本鎖オリゴヌクレオチド(アプタマー)を利用した新たな心不全治療薬を開発することを目的としている。本年度はホスホランバン・アプタマーの最適化及びアプタマーの細胞内導入法の検討を行い、以下のような成果を得た。 本研究者等は、これまでにホスホランバンに特異的に結合し、ホスホランバン機能を阻害するDNAアプタマーを得ていた。さらに、心不全治療薬として利用可能とするために、SELEX法で修飾RNAアプタマーを得ることにより血中での安定性が向上したアプタマーの最適化を行った。その結果、ホスホランバンに結合するホスホロチオネート化したRNAアプタマーとして約20種類得られた。このうちApt-19は、約50nMのKdでホスホランバンに特異的に結合するのみならず、SERCAへのホスホランバンの抑制作用を解除し、単離心筋SRのCa^<2+>輸送を著明に促進することを見出した。 次に、このApt-19を用いてラット成獣の単離心筋細胞への細胞内導入法の検討を行った。細胞内導入法としては、陽イオン性脂質によるリポソーム導入法、HVJエンベロープを用いた導入法、ナノ粒子を利用した導入法などを用いた。いずれの方法でもアプタマーの細胞内への導入は可能であった。しかしながら、ペプチドを用いたナノ粒子導入法以外の方法は、細胞毒性、特に心筋の細胞膜に影響を及ぼしCa^<2+>の細胞内流入を増加させるため不適切であった。すなわち、心筋細胞へのApt-19の導入では、ペプチドを用いたナノ粒子導入法が最適であることが明らかとなった。
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