研究課題
LOX-1が酸化LDLを結合する際に、その結合を数十倍のオーダーで高める血中分子を同定した(以下co-factorと呼ぶ)。この発見を基礎として、本研究では以下の点を明らかにすることを目的とした。(1) co-factorが、酸化LDLのLOX-1への結合をいかに強めるか?(2) cofactorが、白血球や血小板のLOX-1を介した細胞接着をいかに強めるか?(3) co-factorは、動脈硬化性疾患をどのように進行させるのか?これにより全く新しいメカニズムによる細胞接着機構が明らかとなると同時に種々の病理現象の基盤となるLOX-1-co-factor相互作用制御により新しい治療法の創出が期待される。本年度は特に、co-factorが血小板のLOX-1を介した細胞への接着をいかに強めるかを検討した。血小板が活性化することにより血小板表面に露出するphosphatidylserine(PS)を認識して、LOX-1が血小板を結合することを既に報告しているが、LOX-1発現細胞とco-factorをpreincubationし、LOX-1にco-factorが結合した状態で、血小板を細胞に作用させると、co-factorに血小板が結合することにより、より多くの血小板がLOX-1に結合した。さらに、このco-factorを介したLOX-1-血小板結合はトロンビン受容体アゴニストを血小板に作用させることにより濃度依存的に増加し、血小板活性化に依存していた。また、co-factorの分解酵素を作用させることにより、血小板結合は抑制された。一方、co-factorのLOX-1への結合を分子間相互作用解析装置BIACOREで解析したところ、その結合は非常に強く、もともとLOX-1にリガンドとして知られている酸化LDLよりもはるかに強いことが明らかとなった。このことは、co-factorが強くLOX-1に結合し、結合したco-factorに酸化LDLが結合するという形で、酸化LDLのLOX-1への結合をco-factorが強めていることを示唆する。このような、同じリガンドとLOX-1の間にco-factorを介する間接的、およびco-factorを介さない直接的結合様式があることが明らかになったが、これにより細胞の反応や病理現象にどのような違いが生じるのかを次年度以降明らかにしていきたい。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (13件) 産業財産権 (1件)
Proc Jpn Acad Ser B Phys Biol Sci
巻: 87 ページ: 104-113
doi:10.2183/pjab.87.104
Clin Chem
巻: 56 ページ: 550-558
doi:10.1373/clinchem.2009.140707
Lipids
巻: 45 ページ: 329-335
doi:10.1007/s11745-010-3402-7
J Hypertens
巻: 28 ページ: 1273-1280
Osteoarthritis Cartilage
巻: 18 ページ: 1284-1290
Cancer Immun
巻: 10 ページ: 7
Endocrinology
巻: 151 ページ: 3307-3316
Biochem Biophys Res Commun
巻: 398 ページ: 576-580
Pharmacol Rep
巻: 62 ページ: 311-318