研究概要 |
1)BMPR2遺伝子欠損マウスに発生する大腸ポリープの解析結果より間質細胞におけるBMPR2遺伝子の機能が重要な役割を担うことが明らかとなった。すなわち、BMPR2遺伝子欠損間質細胞からの何らかのシグナルが上皮細胞の増殖を促進させることが示唆された。そこでBMPR2遺伝子欠損線維芽細胞からRNAを抽出し、cDNAマイクロアレイにて遺伝子発現の変化を正常細胞と比較を行った。遺伝子発現が増加していたものにendoglin, lipocalin2, CD34, prostagl and in E synthetaseなどが認められ、現在これらの遺伝子変化の影響の解析を行っている。 2)BMPR2の特徴的な構造にC末端に位置するTail domain(TD)がある。このTDの機能は未だ解明されていない。その機能を解析するために遺伝子組換え技術ジーンターゲティング法を用いてTDをコードしているエクソン12を欠損させた細胞とマウスを作製した(SG allele)。これらの変異マウス(SG/SG)は発生初期に致死となった。この変異BMPR2は正常な細胞外領域、キナーゼ領域を有しており、TDがBMPシグナルに影響を与えていることが示された。 3)上記、SG alleleを組み込んだMEF細胞を用いた解析の結果、BMPR2(SG/+)細胞ではBMP7刺激によるSmad1/5/8のリン酸化が亢進していることが明らかとなった。さらにコンディショナルノックアウト法を用いたBMPR2 allele(floxallele)と組み合わせ、BMPR2(SG/flox)からBMPR2(SG/de1)を作製した。正常のBMPR2を欠損させる(del allele)と、さらにSmad1/5/8のリン酸化が亢進した。BMPR2(SG/+)細胞で1型受容体(ALK2とALK3)をノックアウトしたところALK2を介していることが分かった。これらの結果よりTDをもつBMPR2はALK2を介したBMP7シグナルに関して抑制的に作用することが示された。
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