RANKLの細胞特異的な病態生理機能を明らかにする目的で、RANKL floxマウスを作出しosterix-Creマウスとの交配により骨芽細胞系列特異的なRANKL遺伝子の欠損モデルを作製し解析した。エストロゲン欠乏による閉経後骨粗鬆症のモデルである卵巣摘除では、骨芽細胞系列でRANKLを欠損すると骨量減少はほとんど起こらないことが明らかになった。一方、CD4-creマウスとの交配によってT細胞においてRANKLを欠損したモデルを解析したところ、ベースラインでの骨量はわずかではあるが有意に対照群より多いことが明らかになった。一方、卵巣摘除に対しては、対照群とほぼ同程度の骨量減少が起こったことから、エストロゲン欠乏に対する破骨細胞の活性化には、T細胞ではなくて骨芽細胞系列が発現するRANKLが主役を果たすことが示唆された。さらに、関節リウマチにおけるRANKLの産生源を解析する目的で、導入したKRN-TCR TgマウスをNODマウスと交配してK/BxNマウスを作出し血清をプールした。プール血清を野生型B6マウスに移入したところ、足関節の腫脹などの炎症所見と関節周囲の骨の変化を観察した。骨芽細胞系列でRANKLをKOしたマウスにおいては、炎症所見の軽減はないものの、骨びらんが部分的に緩和している所見が得られた。
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