研究課題
本年度では引き続き内皮リパーゼを過剰発現させるトランスジェニックウサギの作製を試みた。今回の実験では、1081個のウサギ受精卵へのマイクロインジェクションを行い、32羽の仮親ウサギへの移植を行った。そのうち、12羽の仮親ウサギの妊娠が確認され、18羽の子ウサギを出産した。Southern blot並びにPCR法にて測定した結果、内皮リパーゼ遺伝子が導入されたポジのウサギは2羽が確認された。現在は、この2羽ウサギの解析と繁殖を行っている。ISIS社より提供されたウサギ内皮リパーゼアンチセンスを用いて正常JWウサギ並びにWHHLウサギに静注実験を行った。センス投与群と比べて、内皮リパーゼアンチセンスの投与により、JWウサギの血清高密度リポ蛋白値が上昇している傾向が確認されたが、総コレステロールや中性脂肪の変化は認められなかった。リポ蛋白分画をHPLCにより分析した結果、粒子の大きい高密度リポ蛋白のコレステロールとリン質の量が内皮リパーゼアンチセンスの投与により、著しく上昇していることが認められた。同様の方法で内皮リパーゼアンチセンスを高脂血症動物モデルであるWHHLウサギに投与した。WHHLウサギの血清高密度リポ蛋白値の変化はJWウサギと同様であったが、内皮リパーゼアンチセンスの抗動脈硬化作用は認められなかった。以上の結果は2012年のJ Atheroscler Thromb誌に発表している。更に、内皮リパーゼの分子構造と阻害剤との相互作用を調べるために、生物情報科学技術を利用して、内皮リパーゼ分子3D構造を解析したとともに、脂質代謝にも重要な酵素である肝リパーゼとリポタンパクリパーゼの構造特徴を比較した。これらの研究成果はすでに2013年のPLoS ONEに発表される予定となっている。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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