研究課題/領域番号 |
22390072
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研究機関 | 独立行政法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
梅澤 明弘 独立行政法人国立成育医療研究センター, 生殖・細胞医療研究部, 部長 (70213486)
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研究分担者 |
豊田 雅士 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 研究所老年病研究チーム, 研究副部長 (50392486)
黒田 雅彦 東京医科大学, 医学部, 教授 (80251304)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 細胞・組織 / タンパク質 / 心筋再生 / 液性因子 / 再生医療 |
研究概要 |
ヒト間葉系幹細胞の培養・心筋への分化誘導法の確立 ヒト由来間葉系幹細胞に着目し、採取方法、培養方法の標準化を行った。培養方法については完全ヒト型培養法の確立を目指すとともに、未分化状態での維持法ならびに分化誘導培養法の標準化も行う。これらの培養で維持された細胞について、効率よく心筋細胞に分化させる因子を質量分析、シグナルシークエンストラップ法(SST法)などにより網羅的に解析した。さらに、高い心筋分化効率を有する間葉系幹細胞株にのみ強発現している遺伝子をMicroArray法により検索した。また、UBET細胞培養上清中に存在する心筋細胞分化誘導因子を同定するために、培養上清中の物質を、P19CL6細胞の心筋細胞への分化誘導能を指標に精製し、質量分析により解析した。SST法によりなるべく多くの分泌蛋白質を同定する。UBET細胞と心筋細胞分化誘導能のない間葉系細胞のDNA chip解析またはサブストラクションを行い、発現の異なる分泌性分子より、心筋細胞分化誘導因子を検索した。バイオインフォマティクスを用いた心筋分化因子の探索については、ヒト間葉系幹細胞を高率に心筋に分化させるのに必要な条件を、バイオインフォマティクスの手法を用いて推測した。具体的には我々の保持している多種の組織由来のヒト間葉系細胞の中から心筋に分化しやすい細胞の特徴を解析することで、心筋分化の可能性の高い細胞を有効に選択する技術を開発する。従来、ヒト骨髄由来間葉系細胞を心筋に分化させるのに用いてきた、マウス胎児心筋の発現遺伝子を解析することで、心筋分化に必要な液性因子(サイトカイン、成長ホルモン、転写因子など)に関する検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞培養や動物実験は当初の計画どおりに推移している。心筋細胞への誘導を行う液性因子の探索は、質量分析、シグナルシークエンストラップ法(SST法)、GeneChip等による膨大なデータの蓄積が行われており、計画どおりの進展がなされている。
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今後の研究の推進方策 |
細胞培養や動物実験を継続し、データの蓄積に務める。今後は臨床応用を見据えた基盤データの供出が重要な意義をもつ。また、これらのビッグデータのバイオインフォマティクスによる様々な検証も行っていかなければならない。細胞のゲノムワイドな変化を経時的に捉えつつ、分化メカニズムを明らかにするために、膨大なデータの蓄積を継続し、信頼性の高い実験データの供出に務める。また、心筋細胞への分化機構の解明し、、再生医療への応用を見据えていくためには、有効性を示しつつ、社会的な理解を得る必要があり、本研究は欠くことのできない重要事項である。倫理面の配慮を怠ることなく、間葉系細胞の心筋分化対する基盤データの供出に一層邁進するべく研究を進めていく。
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