本研究課題では、最近の研究の進展により注目を浴びているロプトリーに局在する2つの複合体について、ネズミマラリア原虫の系により、1)複合体形成を阻害すると、赤血球侵入が阻害されるAMA1-RON複合体の複合体形成インターフェイスの同定、2)特異抗体が増殖を阻害するRhopH複合体の赤血球結合領域の同定を行い、赤血球侵入を制御する新しい標的部位を明らかにすることを目的とする。本年度はネズミマラリア原虫(P.yoelii)のPyRhopH複合体の構成成分RhopH1Aの断片を発現する組換えネズミマラリア原虫を作成したが、5等分したPyRhopH1Aのすべてが複合体を形成しなかったため、各断片を組み合わせた大きい断片を発現する遺伝子組換えネズミマラリア原虫を作製した。C末端側1/5のみが欠けている全長の4/5の長さのRhopH1Aでも複合体形成が見られないため、全長を発現するプラスミドのデザインを行った。RON-AMA1複合体の構成生物RON2、RON5およびAMA1についてウサギとマウスを用いてペプチド抗体を作製し、原虫タンパク質に対する反応性を確認した。これらの抗体を用いた免疫沈降法にてRON-AMA1複合体形成が検出できることを確認した。また、RON-AMA1複合体形成インターフェイスがRON2の細胞外領域であることが決定されたため、この部位に対する抗体が増殖阻害効果を示すかどうかを検討するために、この部位の組換えタンパク質を大腸菌で発現するプラスミドのデザインを行った。
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