研究概要 |
前年度はウェルシュ菌のゲノム配列から比較的長い遺伝子間領域(IGR)の存在を確認して144のIGRを選択し、それぞれの領域のDNAをPCRによって増幅し、このDNAを遺伝子プローブとしてウェルシュ菌野生株より抽出したRNAに対してノザン解析を行い、これにより144のIGRのうち、明らかに転写されている領域が53領域あることが明らかになっている。 そこで23年度は、この転写の見られた53のIGRで転写されるRNAの領域の特徴を調べるため、53のすべてのIGR領域について、培養したウェルシュ菌野生株から培養開始後1,2,3,4,5時間のRNAを経時的に抽出し、各培養時期における低分子RNAの発現パターン(量の増減など)分析とRNAの正確なサイズ計測を行い、RNAによって時間的な発現パターンが異なること、そしてほとんどのRNA分子のサイズが150~500,baseとIGR領域の長さより短く、明らかにIGR内から転写されていると判断された。引き続いて、IGRから転写される低分子RNAの発現調節パターンを解析するため、これまでに知られている調節システムである二成分制御系VirR/VirSや転写調節RNAであるVR-RNA、virXの変異株を用いて、これらの調節システムとIGR領域の低分子RNA(IGR-sRNA)との関連を野生株と制御遺伝子変異株から調製したRNAを用いるノザン解析により調べた結果、20のIGR-sRNAの発現がVirR/VirS調節系により転写調節されていることが明らかになった。VR-RNAおよびvirXによるIGR-sRNAへの転写調節に関しては、現在実験を行っているところであり、24年度も継続的に行っていき、ウェルシュ菌のグローバル調節系がIGR-sRNAの発現に及ぼす影響について明らかにする予定である。
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