研究課題/領域番号 |
22390088
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
西山 幸廣 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (60115615)
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研究分担者 |
木村 宏 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (30303621)
五島 典 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (70201499)
鎌倉 真紀 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, COE特任教授 (80437003)
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キーワード | 単純ヘルペスウイルス / 宿主因子 / 遺伝子機能 / ウイルス増殖機構 |
研究概要 |
宿主遺伝子発現におよぼすHSV感染の影響についてマイクロアレイを用いて網羅的解析を行った。その結果、発現量の増加する宿主遺伝子が予想以上に多数存在することがわかり、その一つとしてinsulinoma-associated 1(INSM1)に着目した。INSM1は5つのzinc finger motifをもつ転写因子で、早期胚の神経発生に重要な働きをしている。RT-PCRの結果、ヒトケラチノサイトなど様々な感染細胞においてmRNA量の顕著な増加が確認された。INSM1 promoterを用いたリポーターアッセイでは、感染後経時的に活性が著しく上昇した。INSM1発現系では、感染によりreplication compartment様に局在性が変化した。HSVゲノム内で検索したところ、ICP0プロモーター領域にINSM1結合配列が認められた。ICP0プロモーターを用いたレポーターアッセイではVP16の存在下でINSM1は促進的に作用した。さらにChIPアッセイでICP0 promoter領域へのINSM1の結合が確認された。 HSV感染におけるTankyrase 1の動態と役割について検討した。内在性Tankyrase 1は殆ど細胞質に存在するが、感染により核内にリクルートされることがわかった。感染初期にTankyrase 1はICP0蛋白質と共局在し、その後replication compartment内に認められた。ウイルスのDNA合成はTankyrase 1の修飾とHEp-2細胞内のrelocalizationに必要ではないことがわかった。XAV939を用いてTankyraseの活性を抑制すると、HSVの増殖も有意に抑えられた。 以上の結果は、INSM1、Tankyrase 1がHSVの増殖に重要な役割を果たしていることを示唆するものである。
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