研究課題/領域番号 |
22390089
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
上野 貴将 熊本大学, エイズ学研究センター, 准教授 (10322314)
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研究分担者 |
三浦 聡之 長崎大学, 熱帯医学研究所, 客員教授 (00296576)
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キーワード | ウイルス / 感染症 / 免疫学 / 進化 |
研究概要 |
HIVアクセサリー蛋白質に対するヒトCTLの応答、CTL淘汰圧がアクセサリー蛋白質の機能に及ぼす影響、およびアクセサリー蛋白質の機能が生体内のウイルス制御・感染病態に与える影響は、十分に解析されて来なかった。本研究では、アクセサリー蛋白質に対するCTL応答が、アクセサリー蛋白質の変異と機能に与える影響を明らかにすることを目的としている。このために、アクセサリー蛋白質の機能と病態との関連を解析するものと、免疫応答とアクセサリー蛋白質の変異を解析するものの2つの柱で研究を進めている。まず、最初の柱では、北アメリカのHIV感染者(慢性感染者とエリートコントローラー)の検体を150例ほど入手し、アクセサリー遺伝子(特にnefとvif)の解析を行った。コントローラーに特徴的な遺伝子配列は、特定されなかった。次に、ウイルス複製や他の機能解析を進めるために、各遺伝子をプロウイルスベクターに組込む作業の取り組みを始めた。これと並行して、実験室株を用いて、機能解析のための条件検討を行い、アッセイ系を確立した。第2の柱では、日本人HIV感染者の検体について、350例ほどの検体の収集を終え、アクセサリー遺伝子の解析を始めた。一部のデータを用いて、試験的に、感染者のHLAクラス1アリルと相関するアクセサリー蛋白質の変異の探索を行った。Vpu, Vif, Vprそれぞれで、日本人に特徴的な変具を見出した。これらについては、さらに詳細な免疫学的解析を進めて行き、免疫応答とウイルス蛋白機能との関連の解析に進む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の懸案であった海外での検体集めに目途がつき、ウイルス遺伝子の解析で、相応の結果を得た。現在は、当初の計画通り、組換えウイルスの作成と、機能解析に進んでおり、おおむね順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
ウイルス複製や機能解析のデータを取り終えたら、速やかに、感染者の病態などとの相関の解析に進む予定である。その結果を見たうえで、異なるコホートでの状況、異なる病態での状況など、検体の追加の可能性を含め、包括的な対応を再考し、最終的なまとめに取り組んで行きたい。
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