研究課題/領域番号 |
22390090
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
岡本 宏明 自治医科大学, 医学部, 教授 (30177092)
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研究分担者 |
田中 利典 自治医科大学, 医学部, 講師 (30146154)
高橋 雅春 自治医科大学, 医学部, 講師 (70326841)
長嶋 茂雄 自治医科大学, 医学部, 講師 (60433116)
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キーワード | E型肝炎ウイルス / 感染培養系 / 感染性cDNAクローン / 劇症肝炎 / ゲノム変異 |
研究概要 |
今年度の研究は、E型肝炎の重症化・劇症化に関わるウイルスゲノム変異、およびHEVの感染、複製、遺伝子発現調節などのウイルス生活環の種々の段階に影響しうるウイルスゲノム変異の検討を目的とした。研究代表者らは4型HEVが感染したE型肝炎患者では3型HEVが感染したE型肝炎患者よりも重症であり(J Med Virol 76:341-9,2005)、1819番目の塩基がCに変異し、3148番目の塩基がUに変異、あるいは5907番目の塩基がCに変異した4型HEVは劇症肝炎の発症と密接な関連があることを報告してきた(J Med Virol 78:476-84,2006)。そこで劇症肝炎患者由来の4型HEV株(HE-JF5/15F)の感染性cDNAクローンを構築し、ウイルス変異による増殖効率への影響を検討した。3148番目の塩基に関して、劇症型のTに比べ、非劇症型のCに変異することにより、培養上清中のHEV RNA titerは約4分の1に低下し、5907番目の塩基に関して、劇症型のCから非劇症型のA(5907A)あるいはT(5907T)に置換することにより、培養上清中のHEV RNA titerは4分の1ないし10分の1に低下し、これらの変異が同義置換ながらウイルス増殖効率に影響していることが示唆された。また、培養馴化株で認められた変異を3型の感染性cDNAクローン(pJEO3-1760F)に導入し検討した結果、2808番目の塩基のTからCへの置換(ORF1,928番目のアミノ酸がValからAlaに変異)、5054番目の塩基のAからGへの置換(ORF1,1677番目のアミノ酸がIleからValに変異)がウイルス増殖に対して促進的に働き、両者の効果は相加的であることが示された。従って、これら変異は培養細胞への馴化並びに効率的なウイルス増殖に密接な関連があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通りに研究が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画通りに進める予定であり、研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点は特にない。
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