研究課題/領域番号 |
22390093
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
倉根 一郎 国立感染症研究所, 副所長 (90278656)
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研究分担者 |
鈴木 隆二 独立行政法人国立病院機構相模原病院, 臨床研究センター, 室長 (70373470)
松谷 隆治 公立大学法人和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70372290)
高崎 智彦 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 室長 (20221351)
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キーワード | デングウイルス / デング熱 / デング出血熱 / マーモセット |
研究概要 |
本研究は、デングウイルス(DV)が引き起こすデング熱(DF)およびデング出血熱(DHF)の発症メカニズムの解明を目指した。平成23年度は、前年度までにマーモセットを用いた感染動物モデルの確立と各種解析系の確立の継続と、そのウイルス学的検討、病態解析を中心に行った。 (1)マーモセットのデングウイルス感染モデルの評価:DVの単回接種に加え、ヒトの場合と同様に症状が重篤化するか否か検討するために他血清型ウイルスの2回目接種の実験に着手した。接種間隔は接種した血清型以外に対する中和抗体価が10倍以下まで低下する時期(およそ1年)を目安とし継続検討中である。再感染後の血液学的評価、尿の評価は経時的に行っているが、体温、活動性評価、皮膚検査、一般血液検査、肝機能・腎機能検査、尿検査、血症中ウイルス定量、尿中ウイルス定量、抗ウイルス抗体(IgM、IgG)、中和抗体価を評価し、皮膚発赤、血中ウイルス増加後の中和抗体価の上昇が確認され、さらに生化学および病理組織学評価から明確な腎機能障害が確認された。 (2)マーモセットの各種サイトカインの検討:実験で得られたサンプル(主にPBMC、症状によっては肝臓、腎臓など)を用いて、マーモセット感染モデルからの血液を中心に(剖検時:各種臓器・組織)についてサイトカイン・ケモカイン等の蛋白量、発現量を解析に着手した。感染初期からウィルス増殖に伴い炎症サイトカイン(IFNγ、IL-2)が検出されTH1タイプを示していた。 (3)マーモセットTCRレパトア解析法の確立:マーモセットのTCRαおよびβ鎖に対して網羅的かつ定量的解析系の確立を終了した。本系を用いて現在継続研究中の感染モデル由来サンプルについてT細胞レパトアを実施し、T細胞動態の変化や差異を明らかにしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マーモセットを用いたデングウイルス感染モデル系が確立している。 マーモッセトの免疫学的解析ツール系の確立が順調に行われている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度から、異なる血清型ウイルスによる単回あるいは2回目接種後のマーモセット試料について,ウイルス学、血液学的、免疫学的解析を継続検討する。MHCアレルタイピング法の確立と解析を行い、次世代大規模シーケンス解析およびT細胞レパトアを実施予定し、平成23年度までに確立した網羅的TCR解析法によりウイルス感染後のT細胞の動態変化や差異を明確にする。さらに、DV特異的ペプチド抗原の同定とDV特異的T細胞の性状および機能解析を進める。 マーモセットMHC遺伝子多型タイピング法を開発中であるが、マーモセットの全ゲノム配列の情報が完全で無いことから発現解析とゲノム解読を進める必要がある。
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