研究課題
マーモセットをモデルとして、デングウイルス感染機序の解明を目指した。本年度は、マーモセットを用いた感染動物モデルの確立と各種解析系の確立の継続、ウイルス学および免疫学的解析を中心に行った。特に、デングウイルス再感染時における、病態の変化と抗体応答を詳細に解析した。初感染においてデングウイルス2型に感染したマーモセットにデングウイルス1型、あるいは3型を再感染させた。感染後ウイルス血症が出現したが、初感染時に比較し高いレベルのウイルス血症は出現しなかった。抗体応答として、再感染後4つの血清型に対する中和抗体が確認された。この抗体応答はヒトにおける再感染時の抗体応答と同様であり、マーモセットモデルが、再感染においてもヒトにおける感染病態や免疫応答を再現するモデルであることが示された。さらに、デングウイルス感染に対する防御における中和抗体の役割を解明するため、中和抗体を移入しその後デングウイルスのチャレンジを行った。デングウイルス投与前に1:10-1:20の中和抗体が血中に存在することにより、投与後のウイルス血症が防御された。本研究により中和抗体の存在が、デングウイルス感染の防御に働くことが示された。マーモセットのTCRαおよびβ鎖の全塩基配列を確定した。そのデータを用い、マーモセットTCRレパトア解析法を確立した。さらに、マーモセットにおける細胞性免疫応答を解析するため、免疫細胞表面マーカーCD3、CD4、CD8およびCD20と各種サイトカインIL-1β、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-12、IL-13、IFN-γ およびTNF-αのアッセイ系を確立した。さらに、末梢血や各臓器における非感染状態での各CD抗原陽性細胞率やサイトカインの状況を明らかにした。本法の確立により、デングウイルス感染時における免疫応答の詳細な解析が可能となった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2012 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
Journal of Medical Primatology.
巻: 41(5) ページ: 289-296
doi: 10.1111/j.1600-0684.
Journal of Imunological Methods.
巻: 384(1-2) ページ: 81-91
doi: 10.1016/j.jim.2012