研究課題
(1)抗原特異的メモリーCD4+T細胞における遺伝子発現とDNAメチル化: CD4メモリ-T細胞の産生、維持の分子機構を明らかにするため、DO11.10 TCR TgメモリーCD4+T細胞を単離し、メチル化感受性酵素を用いたMSCC法でDNAメチル化を測定した。ナイーブからメモリーT細胞への分化に伴い変化したメチル化領域(DMR)は、マウスゲノム全体で1144箇所存在した。このDMRのうち半分は遺伝子がないゲノム領域に存在し、遺伝子関連領域では大部分がイントロンに位置していた。これらのDMRは、サイトカイン産生、骨髄へのホーミング、および免疫応答に関連する重要な遺伝子の領域に位置していた。さらにこのDMRの機能にはエンハンサー活性が観察された。このことから特定の抗原暴露により分化したT細胞では、DNAメチル化によるプロモーター活性の変化よりむしろエンハンサー活性の変化により、免疫関連遺伝子の発現が調節されていることが示唆された。(2)メモリーCTL分化のエピジェネティック制御:これまでメモリーCTLの一次応答に焦点を当てて解析を進めてきたが、今年度は解析対象を二次応答にも拡大し、遺伝子発現量とDNAメチル化の変化について次世代DNAシークエンス技術を用いて包括的に解析した。その結果、メモリー細胞において、CTLに特徴的なサイトカインやケモカインなどの遺伝子群の顕著な発現量上昇、細胞老化と関連深いリボゾーム蛋白類の発現量低下とを認めた。さらに一次メモリーと比較して、二次メモリーCTLではNK細胞特異的遺伝子の発現量上昇が認められ、老化メモリーCTLの特徴となることを明らかにした。これらの遺伝子発現変化は当該遺伝子領域のDNAのメチル化・脱メチル化と相関性が強く、メモリーCTLの分化状態がDNAメチル化・脱メチル化により制御されていると強く示唆された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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