研究課題
私たちは、最近、CXCL12高発現細網細胞(CAR細胞)が骨髄でのCXCL12とSCFの主要な産生細胞であり、造血幹細胞の維持、免疫担当細胞の産生に必須のニッチ細胞であることを明らかにし、造血ニッチの理解を大きく進めた。そこで、私たちは、CAR細胞の中での細胞種特異的ニッチを同定するために、CAR細胞で特異的に発現する遺伝子の検索を行った。2012年、米国のMorrisonらは、骨髄でSCFを高発現する細胞が、レプチンの受容体(Lepr)を高発現することを報告し、LeprがCAR細胞で特異的に発現することが示唆された。そこで、mRNA発現量の解析を行ったところ、Leprは、CAR細胞でのみ発現し、細胞一個あたりの解析では全てのCAR細胞で発現していた。次にLepr遺伝子座にCreを挿入したLepr-CreノックインマウスとCreによって蛍光蛋白EGFPが発現するloxP-EGFPマウスを交配すると、骨髄のEGFP陽性細胞は全てCAR細胞であり、CAR細胞の約92%でCreが作用した。一方、Osxの骨芽細胞特異的プロモーターの下流にCreを結合した遺伝子を持つトランスジェニッックマウス(Osx-Cre Tg)とloxP-EGFPマウスを交配したところ、EGFP陽性細胞はCAR細胞と骨芽細胞であり、CAR細胞の約88%でCreが作用することが明らかになった。また、CXCL12 Floxマウスを作製し、Osx-Cre Tgと交配したところ、造血幹細胞が半分に減少したことから、CAR細胞の約12%を占めるOsxの発現が低い亜分画が産生するCXCL12が造血幹細胞の約半分を維持できることが推定された。以上より、LeprまたはOsxの発現が低いCAR細胞の亜分画が、CAR細胞の中での細胞種特異的ニッチを構成する可能性が提示された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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