研究概要 |
本研究では,手術で使用される鋼製小物(手術用器具)の故障による医療事故を防ぐため,器具を自動的に個別管理する方法を確立することを目的とした。実際に手術で使用されるものと相同の鋼製小物にカラーコードを装着し,複数の鋼製小物を認識すると同時に,その鋼製小物に標識されたカラーコードの読み取りを行った。鋼製小物の自動認識のために,立体画像の画像解析装置を搭載した鋼製小物認識装置を試作し,その感度の向上を目指した。また,一方で鋼製小物に標識するカラーコードを極小まで小型化することでカラーコードが鋼製小物の個体識別に用いることが可能であることを明らかにした。カラーコードの標識に関しては,鋼製小物に対して,当初メッキによるカラーコードで標識する試みを行ったが,極小メッキは,技術的には可能なものの,高度な精度が必要であり,メッキの均一性を保つことは極めて困難であることが明らかになった。代わりにカラーコードを紙に印刷して樹脂により被覆,貼付する方法に切り替えたが,樹脂の滅菌耐性に関しては,今後引き続き検討を行う必要がある。その一方で,印刷した極小のカラーコードに関しては,認識精度が高く,被写体の焦点に左右されない有用性が確認された。今後は鋼製小物に貼付する部位を一定にして検討を行う方針である。また,鋼製小物の判別自体も極めて良好であり,試作機の立体画像識別能の高さが示された。鋼製小物の識別に関しては,今後その種類を増やし検討を行う必要があるが,画像認識ソフトの性能上,当面は10種類程度に限った検討を行う予定である。
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