研究課題/領域番号 |
22390101
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安原 洋 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (50251252)
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研究分担者 |
深柄 和彦 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (70323590)
小松 孝美 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80343119)
大林 俊彦 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30250442)
齋藤 祐平 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90422295)
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キーワード | 手術器具 / 故障 / 画像認識 / 3Dスキャナー / 画像処理 |
研究概要 |
画像解析装置を用いて手術器具を認識するには,手術器具のコンピュータ立体情報(CAD)が必要である。CAD情報を認識装置に記憶させることにより,画像装置は手術器具の画像をその記憶された情報と比較することで個別の手術器具を認識することができる。しかしながら,CAD情報はすべての手術器具に対して準備,作成されておらず,これまでは実際の器具を手動で計測し,人がCAD情報を作成する必要があった。CAD情報をより容易に,統一的に作成するため,今回3Dスキャナーを導入した。3Dスキャナーは手術器具を立体的にスキャンすることにより,手術器具のCAD情報を作成することができる。しかしながら,実際には線状の手術器具(ゾンデなど)のCAD情報作成には,スキャン方向を工夫するなどのコツが必要である。また鋼製の手術器具はスキャナーでの認識が不良で,金属表面に艶消しの処理を施す必要がある。これらの工夫を施した後も入手した3Dスキャナーには表面上方の欠損,表面情報の“変形”などが存在し,入手情報には適切な情報処理を手動で行う必要がある。しかしながら,そのような処理を適切に行うことにより,これまで手動で行っていたCAD情報に比べ,短時間で均一な情報を作成することができることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初手術器具の故障をとらえるため,器具ここをカラーコードでマーキングして個別認識することを計画していた。カラーコードは縮小化したものを器具につけることは可能であることを確認したが,そのための樹脂の選定に当初の予定以上の時間を要した。理由としては,カラーコード被覆のための樹脂には手術器具に対する洗浄・滅菌に伴う器械的,科学的負荷が予想以上にかかったことがある。最終的には海外で流通している医療機器用の接着用樹脂が使用可能であることが判明し,樹脂の毒性についても同時に克服することが可能であった。また,樹脂自体の透明性についても当初予定した樹脂よりも若干は劣るものの画像認識装置による認識は十分に可能であり,カラーコードの認識については,最終的に当初の予定通りの計画を進めることができた。 また手術器具の種別を器械的に認識する部分であるが,カラーコードの認識機能を含んだプロトタイプの手術器具認識装置を製作することができた。手術器具の認識のために予定では3次元コンピュータ画像を用いることを計画していたが,コンピュータ画像の作成に時間がかかり,計画が遅れることとなった。解決方法としては,3次元画像を3Dスキャナーで作成することとし,そこで作成した手術器具のCADデータを手術器具認識装置に取り込むことにより,より多種類の手術器具を認識することが可能となった。ただし,3Dスキャナーによる手術器具の3次元画像情報は,万能ではなく作成にあたってコンパクトな情報とすること,線上の手術器具(ゾンデなど)については,スキャナーによる画像作成時に,器具の表面処理を十分に行うこと,などいくつかの課題も存在した。
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今後の研究の推進方策 |
3Dスキャナーによる画像は情報量が大きくなり,手術器具の種別の認識率が格段に上昇するものの,画像認識処理にかかる時間も延長することになり,コンピュータの処理能力の向上と画像認識ソフトの性能向上が今後残された課題になると考えられた。 今後は,現在限られた種類の手術器具しか認識されないが,その種別を増やし,より性能を向上させたプロトタイプの手術器具認識装置を作成する。また,現在使用しているカラーコードでは情報数に限りがあり,QRコードとの比較を行う必要がある。また,カラーコードの情報量の制限を克服するために,器械の認識情報を管理するソフトを開発する必要がある。今後は手術器具管理情報の開発を行う予定である。
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