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2011 年度 実績報告書

遺伝子医療の推進における薬剤師の戦略的活用

研究課題

研究課題/領域番号 22390105
研究機関神戸大学

研究代表者

平井 みどり  神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (70228766)

研究分担者 平野 剛  神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (00322826)
キーワード逆流性食道炎 / 非びらん性胃食道逆流症 / 薬物代謝酵素 / CYP2C19 / プロトンポンプ阻害薬
研究概要

薬の効き方や副作用は、薬が作用する部位での薬の濃度と密接に関係しており、それには薬を代謝する酵素が非常に大きな影響を与えている。薬を代謝する酵素として知られているものは多数あるが、特に重要なものは肝臓で働く酵素の一種であるCYP(CytochromeP450)である。CYPは人の薬の代謝に関わっているものだけでも20種類以上報告されているが、その中でも特にCYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3Aなどが重要であり、薬の大半がこれらのCYPによって代謝されている。さらに、これらの酵素は遺伝子配列のうち、一塩基が置き換わった一塩基多型(SNPs: Single Nucleotide Polymorphisms)が存在し、代謝活性に大きな影響を与えることが知られている。しかしながら、薬物代謝酵素の活性の変化が薬剤の効能や副作用に与える影響についての知見は未だ乏しく不明な点が多く、更なる研究が望まれている。
胃酸が食道に逆流することで引き起こされる疾患には、食道粘膜に炎症が起きる逆流性食道炎と炎症が起きない非びらん性胃食道逆流症が知られている。本疾患の治療には両者とも胃酸の分泌を阻害するプロトンポンプ阻害薬(PPI)が用いられるが、PPIがCYP2C19により代謝されることから、その治療には個人差が存在するとされてきた。そこで、遺伝的要因が本疾患の治療に与える影響について調べたところ、野生型の遺伝子型を有する患者はCYP2C19*2、CYP2C19*3のいずれかの変異型を有する患者に比べて逆流性食道炎の治癒率が低いことが認められた。しかしながら、非びらん性胃食道逆流症には治癒率に大きな変化は認められなかった。このことは、逆流性食道炎のPPIによる治療にはCYP2C19の遺伝子型が影響を与えていることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

診療科との共同研究でワルファリン代謝酵素やプロトンポンプ阻害薬の代謝酵素を始めとして、遺伝子解析システムが構築されている。さらに、解析結果をもとに薬剤の選択など投与設計を行う体制も整いつつある。しかし、遺伝子データベースの構築に必要なデータの集積は未だ少なく更なる収集が必要である。また、薬剤師レジデントに対する遺伝子解析教育は実施しているが、専門知識に乏しい薬学生や医学生への教育に必要な教材などの作成が今後必要となると考えられる。

今後の研究の推進方策

遺伝子データベースの構築に必要なデータの集積は未だ少ないため、今後は、より多く解析を行う予定である。しかし、多くの解析を行うには、労力と時間が必要となる。そこで、解析の効率化を図るため外部機関に委託することで収集の推進を図るよていである。
現在、薬剤師レジデントに対して、遺伝子解析の結果解釈と治療計画の策定についての教育を行っているが、薬学生など専門知識に乏しい者への教育システムは未だ構築されるには至っていない。そこで今後は、薬剤師のみならず薬学生や医学生への教育を行うことを予定している。そのために必要な教材や教育に対するカリキュラムについては現在策定している段階である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Foretinib (GSK1363089), a multi-kinase inhibitor of MET and VEGFRs, in hibits growth of gastric cancer cell lines by blocking inter-receptor tyrosine kinase networks2011

    • 著者名/発表者名
      Kataoka Y, Mukohara T, Tomioka H, Funakoshi Y, Kiyota N, Fujiwara Y, Yashiro M, Hirakawa K, Hirai M, Minami H
    • 雑誌名

      Invest New Drugs

      巻: 08 June(Online First)

    • DOI

      DOI:10.1007/s10637-011-9699-0

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effects of plasma concentrations of 5-fluorouracil on long-term survival after treatment with a definitive 5-fluorouracil/cisplatin-based chemoradiotherapy in Japanese patients with esophageal squamous cell carcinoma2011

    • 著者名/発表者名
      Kuwahara A, Yamamori M, Kadoyama K, Nishiguchi K, Nakamura T, Miki I, Tamura T, Okuno T, Omatsu H, Sakaeda T
    • 雑誌名

      J Exp Clin Cancer Res

      巻: 30 ページ: 94-100

    • DOI

      DOI:10.1186/1756-9966-30-94

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Inhibitory effects of vitamin K3 derivatives on DNA polymerase and inflammatory activity2011

    • 著者名/発表者名
      Aoganghua A, Nishiumi S, Kobayashi K, Nishida M, Kuramochi K, Tsubaki K, Hirai M, Tanaka S, Azuma T, Yoshida H, Mizushina Y, Yoshida M
    • 雑誌名

      Int J Mol Med

      巻: 6 ページ: 937-945

    • DOI

      10.3892/ijmm.2011.773

    • 査読あり
  • [学会発表] PPI治療抵抗性胃食道逆流症の頻度と臨床的特徴の検討2011

    • 著者名/発表者名
      藤田剛, 松木信之, 宇田篤史, 石田司, 近藤晴之, 大井充, 小林隆, 斉藤雅也, 小畑大輔, 吉田志栄, 山下和彦, 矢野嘉彦, 森田圭紀, 向井秀一, 菅原淳, 渡辺直也, 平野剛, 久津見弘, 早雲孝信, 平井みどり, 東健
    • 学会等名
      GERD Seminar in神戸
    • 発表場所
      ANAクラウンプラザホテル神戸(中間報告)
    • 年月日
      2011-06-10

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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