研究概要 |
平成23年度は、次の点について明らかにした。 (1)転倒転落以外の事例における発生頻度と追加的医療費の算出:23年度は島根大学における2007~09年度3年間の事例3,107件について検討した。分類別の追加的医療費は、薬剤・輸血871,794円、手術・治療・処置12,741,222円、検査6,048,915円などで、3年間総計30,149,108円であった。薬剤・輸血に関する件数は、傷害レベル別にレベル0は211件中84件、1は1,612件中702件、2は656件中227件、3aは420件中59件、3bは62件中2件、4bは1件中0件、5は3件中0件、およびその他142件中14件であった。また、聖マリア病院では、2009年度のみの集計でインシデントレポート件数1,251件のうち、レベル0は99件、1は521件、2は298件、3aは244件、3bは23件、4aは1件、5は4件、およびその他は61件であった。その追加的医療費は総計4,507,120円と算出された。 (2)インシデントレポートの自動分類に関する検討:われわれが開発したシステムを利用して、3病院におけるインシデントレポート(A病院:転倒・転落:一般=7,229件:1,077件;B病院:転倒・転落:一般=2,928件:1,097件;C病院:転倒・転落:一般=6,208件:2,092件)の転倒・転落事例について、自動分類させた。その結果、精度および再現率は、A病院:85.6%、93.9%、B病院:96.4%、84.9%およびC病院:94.2%、97.0%であった。1回目の分類により、再度、転倒・転落および一般事例を再分類させ、2回目の自動分類を実施したところ、精度および再現率は、A病院:88.1%、96.0%、B病院:96.7%、95.1%およびC病院:96.8%、98.4%と向上し、このような操作を繰り返すことで精緻化が可能であった。
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