研究概要 |
血清プロテオーム解析では原理の異なる複数の手法を組み合わせる必要がある。質量分析計をベースとしたプロテオーム解析では検出しにくい10kDa以上のタンパク質に注目し、immunodepletion,HPLC,2DEを組み合わせた3 Step法を用いて新たな飲酒マーカーの探索を行った結果、Pigment epithelium-derived factor(PEDF)が見出された(Sogawa K et al:Alcohol Clin Exp Res.35:211-217,2011).同様に3 Step法を乳がんマーカー探索に応用した結果、マーカー候補としてvitronectinが同定され、その結果は免疫組織化学染色でも確認された(Kadowaki M et al:JCance rRes Clin Oncol. 137:1105-1115,2011)慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CETPH)は、主症状が非特異的であり有効なバイオマーカーが求められている。MALDI-TOF MSによる血清ペプチドーム解析の結果、m/z2989のペプチドが、健常群および他疾患患者群と比較し、CTEPH群において有意に高値を示すことを見出した(Yano T et al:Circulation Journal.75:2675-2682,2011). 当研究室で以前に習慣飲酒マーカーとして見出したfibrinogen alpha C-chain 5.9 kDa fragment(FIC5.9)の測定を実用的にするためにELISA法を構築した。その結果、飲酒マーカーに加えて、早期の肝線維化マーカーとしての可能性が示唆された(Noda K et al:Proteomics Clin Appl 5:141-146,2011)
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