研究課題/領域番号 |
22390117
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
小寺 義男 北里大学, 北里大学理学部, 准教授 (60265733)
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研究分担者 |
佐藤 雄一 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (30178793)
松本 和将 北里大学, 医学部, 講師 (70306603)
岩村 正嗣 北里大学, 医学部, 講師 (20176564)
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キーワード | アルブミン / 血清 / ペプチド / 診断マーカー |
研究概要 |
アルブミンをはじめとしたキャリアタンパク質に結合したペプチドを比較的効率よく抽出することの出来る独自のペプチド抽出法Differential Solubilization method(DS法:別名「K法」)を開発し、血清1μLを対象に1,500種類以上の微量ペプチドの分析に成功した。また、この方法を大腸癌マーカー候補ペプチド探索に応用し、数ng/mL以下(インターロイキンなどの濃度に近い)の今まで検出例の無い疾患関連ペプチドの探索に成功した。この成果を論文に投稿し、受理された(J. Proteome Research, 2010)。上記の大腸癌マーカー候補ペプチドの探索は、DS法で抽出したペプチド混合物(DS法抽出物)を逆相HPLCで60分画し、その各分画物をマトリクス支援レーザー脱離イオン化質量分析計(MALDI-TOF-MS}を用いて手動で測定していた。このため多くの時間と労力、さらには、高い技術が必要であり、多検体を対象とした再現性の高い比較分析は現実的には不可能であった。そこで、DS法と液体クロマトグラフィー質量分析計(LC-MS)を組み合わせた自動分析法の確立を行った。これにより、血清中の濃度数100pg/mL~数10ng/mL以上のペプチドを自動分析することが可能となった。血清中のタンパク質に関しては、アルブミン等のキャリアプロテインに結合した成分を抽出するための独自の血清タンパク質分画法の開発を行った。この方法で分画した2成分を二次元電気泳動で分析し、主要なタンパク質スポットを同定した結果、従来のアルブミン除去法では効率よく取り出せない補体、アポリポプロテインが高効率に抽出出来ていることがわかった。この結果は、本法によって従来法では抽出困難な微量のアルブミン結合タンパク質が抽出出来ている可能性を示唆していると考えている。
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