研究課題/領域番号 |
22390118
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
加藤 和則 東洋大学, 理工学部, 教授 (60233780)
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研究分担者 |
加藤 聖子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10253527)
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キーワード | 癌 / 腫瘍マーカー / 抗体 / 癌幹細胞 |
研究概要 |
平成23年度も昨年度に引き続きヒト子宮体癌および卵巣癌細胞に対するスーパー標的抗体の樹立と反応性、機能解析および可溶化分子検出システムの開発について検討した。 【卵巣癌に対する抗体の樹立および可溶化マーカーの検出】 DNAメチル化阻害剤で処理をした卵巣癌細胞SK-OV-3を免疫原として、DNAメチル化解除により出現する(発現増強する)細胞表面抗原に対しての抗体スクリーニングを行った結果、9種類のモノクローナル抗体の樹立に成功した。いずれの抗体も癌細胞に対する反応性は優位に高かったが、抗体アイソタイプが全てIgMのため、認識抗原を免疫沈降および質量分析の解析が困難であった。また昨年度に樹立した抗体Xは培養SK-OV-3細胞の一部(約2%)に反応陽性を示し、乳癌幹細胞のマーカーとしての有用性が期待された。抗体Xの反応陽性SK-OV-3をソーティングにより分離し、陽性および陰性細胞との分離に成功した。現在各細胞に発現している遺伝子解析(特に幹細胞関連分子を中心に)を行い、3次元培養における増殖能の違いを検討した結果、陰性細胞で逆に増殖能が亢進していることが判明した。 【子宮体癌】これまでにヒト由来子宮内膜細胞のRasトランスフォーム細胞をヘキスト染色陰性と陽性のSP(Side population)とNSP(non-side population)ソーティングで分取し発現遺伝子の違いをcDNAアレイで測定した結果を解析した。その結果、SP(癌幹細胞に類似した細胞)で高発現している膜型蛋白質7種類、分泌性蛋白質9種類を選択した。逆にSPで低発現している遺伝子(膜型7種類、分泌型12種類)も選択し、それらの変動のあった遺伝子に対してReal-Time PCRにて確認し、その発現祭を再確認した。現在、膜型蛋白質に対する標的抗体の樹立を継続し、子宮体癌の診断・悪性度判定に有用であるかを検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画である抗体樹立が予定通り進行している。卵巣癌に対する抗体の樹立および可溶化マーカーのELISA樹立も達成間近である。しかし臨床サンプル等を用いた条件検討がやや進行が遅れているので、最終年度は改善したい。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進も計画に準じて行う予定である。研究計画に変更はないが、研究成果の発表が特許性のある研究成果を得た場合は論文等の発表が遅れることが予想される。また現在の所属の東洋大学の知的財産・産学連携推進センターとも連携を図って進めていく予定である。
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