研究概要 |
【卵巣癌に対する抗体の樹立および可溶化マーカーの検出】 DNAメチル化阻害剤で処理をした卵巣癌細胞SK-OV-3を免疫原として、DNAメチル化解除により発現増強する細胞表面抗原に対しての抗体スクリーニングを行った結果、9種類のモノクローナル抗体の樹立に成功したが、認識抗原を免疫沈降および質量分析により同定しようと試みたがいずれの抗体アイソタイプともIgMのため未同定である。現在IgG型の抗体樹立を実施中である。 研究初年度に樹立した抗体Xが反応陽性および反応陰性の卵巣癌SK-OV3細胞を分取して増殖能の違いを検討した結果、X陰性SK-OV3細胞で逆に増殖能が亢進していることが判明した。この認識抗原の同定を現在も継続して実施中であるが、癌幹細胞との関連が示唆されている。 上皮性腫瘍抗原EpCAMおよびTROP2の可溶化マーカーの検出系(サンドウィッチELISA)を独自の抗体2種類を用いて樹立した。EpCAM,TROP2は類似の抗原であるが、各検出系は交差反応はなく特異的であり、かつ検出限界がそれぞれ160pg/mL、80pg/mLと高感度の検出が可能であった。卵巣癌細胞培養上清にこれら可溶化体が検出されることを確認しており、現在卵巣癌患者血清中の各腫瘍マーカーの測定を計画中である(倫理委員会への申請段階)。 【子宮体癌に対する抗体の樹立】これまでにヒト由来子宮内膜細胞のRasトランスフォーム細胞をヘキスト染色陰性と陽性のSP(Side population)とNSP(non-SP)のソーティングで分取し発現遺伝子の違いをcDNAアレイで測定した結果を解析した結果、SP(癌幹細胞に類似した細胞)で高発現している膜型蛋白質7種類、分泌性蛋白質9種類を選択した。逆にSPで低発現している遺伝子(膜型7種類、分泌型12種類)も選択し、現在、膜型蛋白質に対する標的抗体の樹立を継続している。
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