研究課題
産業界に導入における化学物質の変異原性を検出するためにバイオアッセイを行うが、変異原性を検出するこれまでのバイオアッセイには様々な問題点がある。申請者らは、変異原性、つまり薬剤のDNA損傷誘発能力を、より感度特異度ともに高く検出する為に、野生型細胞とミュータントの細胞分裂速度を「比較する」ことにより、変異原生を調べた。このバイオアッセイでは野生型を陰性対象と置くことで、アッセイがうみうる疑陽性をモニターしている為、変異原性の検出感度を上げることができた。今回申請者らは、米国国家毒性プログラム、米国国立衛生研究所化学ゲノムセンターと共同で、1408種の毒性評価済みの化学物質と、7種のDNA修復経路欠損株を用い、スクリーニングロボット(一日に数千種の物質、20種類以上の濃度でのcell based assayを行うことが可能)によるhigh-throughputな解析とその新規スクリーニングの妥当性の検証実験を行った。細胞増殖率測定アッセイで、1408種類の内42種類の化学物質にて、野生型細胞に比しいずれかのミュータントにて細胞増殖の遅れを検出した。その内、代表的10種類の薬剤では、コントロール群を除いて、野生型細胞と各々対応したミュータント間で染色体断裂数の有意差を認めた。化学物質の変異原性のアッセイにおいて遺伝子破壊DT40を用いたアッセイは非常に有効であると考えられた。今後、条件をさらに検討し、日本における特定化学物質の変異原性の再評価を行ってゆく予定である。また、新規化学物質(特化則)のスクリーニングを行い、その危険性を検討し報告してゆく。
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Environmental and Molecular Mutagenesis
巻: (印刷中)
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