ニワトリBリンパ球(DT40)によるバイオアッセイに加え、DNA障害スクリーニングの精度を向上させるためにGammaH2axの免疫染色を用いたFociの自動カウントシステムを立ち上げDNA障害をきたす化学物質のスクリーニング精度を向上させた。 DT40を用いたスクリーニングにおいて、カーボンナノチューブ(CNT)のような固体の毒性評価は細胞内へCNTを取りこむ機構をDT40は持たないために毒性評価ができないという欠点があった、そこでDT40にmacrophage receptor with collagenous structure (MARCO)を発現させ、それによりDT40にCNTを取り込ませ毒性評価を行えることを確認した。CNTは酸化ストレス障害をきたし、多くの遺伝子修復蛋白欠損DT40細胞に感受性を示すことを見出した。この手法は他の不溶性物質にももちいることができるため、画期的な方法である。 モノクロロ酢酸は解糖系酵素GAPDH阻害剤であるが水道水において規制の対象となっているがそのDNA障害については明らかでなかった。DT40を用いてスクリーニングを行ったところDNA障害をきたし、UBC13欠損株において感受性を示すことを明らかにした。また、GAPDHはアポトーシスに重要な機能を果たすことからMCAによるカスパーゼ活性の変化を見たがカスパーゼ3/7の活性低下を認め、アポトーシスを阻害することを明らかにした。
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