研究課題
本年度は、1.MnによるIL-6誘導機構、2.マクロファージの活性化に対するAsの影響、3.マスト細胞に対するAsの影響、4.As汚染地域住民におけるAs曝露レベルの評価方法、を検討した。1.マウスにMnCl_2を投与すると、肝障害を起こすことなく血中IL-6濃度が顕著に上昇することをすでに見出している。様々な細胞株にMnを作用させたところ、ヒト表皮角化HaCaT細胞の培地に、MnCl_2を添加した際にIL-6mRNAレベルが顕著に上昇し、培地中へのIL-6タンパク質遊離量も上昇した。したがって、MnによるIL-6誘導は細胞レベルでも起こることが確認できた。2.マウスのマクロファージ由来のRaw254.7細胞を用いて、LPSによるマクロファージ活性化に対するAs(亜ヒ酸)同時添加の影響を調べたところ、NO産生量がAs濃度依存的に抑制された。NO産生酵素であるiNosの発現も抑制されたので、転写因子であるNF-kB、STAT3の転写活性化を調べたところ、STAT3の活性化が抑制されていた。STAT3活性化に関与するIFNalphaの発現も減少していた。また、ウィルス感染のモデルとなるPoly(I:C)の添加時にも同様の現象を見出したことから、Asが細菌やウィルスに感染した際の免疫応答を攪乱する可能性が示唆された。3.マスト細胞のモデルとなるRBL-2H3細胞に対するAs(亜ヒ酸)曝露の影響を検討した結果、低濃度のAsを培地に2~4週間添加し続けると、脱顆粒が抑制され、同時にS100A8/A9とGranzymeBの発現が上昇することを見出した。4.バングラデシュのヒ素汚染地域住民の毛髪、爪、尿中のAs濃度の相互の相関性を調べた結果、毛髪のみならず、爪のAs濃度がヒ素汚染の指標として有用である可能性を見出した。
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