食品中のメラトニンは約120品目について測定を行なった。一部の食品については(肉類など脂質の高い食品)は今後も測定精度を上げる必要もあるが、食物摂取頻度調査票に含まれる食品の大方をカバーしている。今後、食品メラトニンデータを食物摂取頻度調査票のプログラムに組み込むことで食事由来のメラトニン摂取量を推定する。 メラトニン摂取量推定の妥当性評価のために、人間ドック受診者約180名を対象に食物摂取頻度調査票への回答と早朝尿を得た。尿は自宅で採取してもらい保冷剤とともに郵送してもらったが、この方法が有効であることは既に先行研究で確認されている。この食物摂取頻度調査票より前述のように食事由来のメラトニン摂取を推定し、尿中メラトニン代謝物量と比較し妥当性の評価とするが、食事以外のメラトニンに影響を及ぼす要因として、就寝時刻、睡眠時間、寝室の証明環境、ホルモン剤の使用、運動習慣についても情報を得た。また尿中メラトニン量と白血球数、高感度CRPが負の相関を示しており、内因性メラトニンが循環器疾患リスクに関与する可能性が支持された。血圧、血清脂質、血糖値、インスリン値との関連性は認められなかった。メラトニンの抗炎症作用によるものかもしれない。 1992年に開始した高山市住民約3万人からなるコホートでは、食事からのメラトニン摂取量とがん罹患・循環器疾患死亡との関連を評価する目的がある。一部の期間を除き、がん罹患、死亡・転居状況、死因について情報を得た。来年度にはデータ収集は終了の見込みである。
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