愛知職域コホート研究は、長期間にわたって対象者を追跡し、我が国における心血管疾患・生活習慣病の発症要因の解明に有用な情報を得ることを目的としている。それを達成するために、本計画では、正確な発症情報を継続的に把握するための基盤づくりに特に注目した。研究開始時に勤労者であった対象者で、研究年度にも在職中の者(在職者)を対象に発症スクリーニングのためのアンケート調査を実施した。この調査においては、標的疾患の発症の有無とともに、通院中(通院していた)病医院名、主治医名を把握した。これらの情報を用いた詳細な発症登録調査を来年度以降実施予定である。また同じ調査用紙を用いて、対象者が退職した後にも、生存確認と継続的な発症スクリーニングが可能になるように、自宅住所、電話番号、電子メールの情報の提供を依頼した。対象者の研究協力への理解を深めるため、研究成果を日本語でわかりやすく説明したダイジェスト(冊子)を作成し、職場に配布した。研究対象者が対象職域から既に退職している者(退職者)については、これらの者が在職中に同様の調査を実施して把握している住所等の情報を整理し、今後の円滑な調査に備えた。また、退職者互助会と打ち合わせを行い、互助会を通した情報還元、情報提供の可能性について検討するとともに、今年度退職を予定している者に対して、退職後の協力を改めて対面で依頼した。さらに、長期間にわたるコホート研究を実施している研究者が多く参加する学会に参加し、情報や意見の交換を行った。なお、本研究計画は名古屋大学医学部生命倫理審査委員会において承認され、定期的な経過報告も経たものである。
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